折り鶴に込められた平和への祈り 長崎原爆資料館
長崎県の原爆資料館。入り口から資料の展示がある地下へ続く、長いらせん状のスロープを下り始めるとすぐに目に入るのが、壁に添わせて展示されている長い「連鶴」だ。これはオランダの芸術作家マナ・オリ氏が2010年8月に寄贈したもので、幅15cm、長さ150mに及ぶ一枚の紙で折られている。
「鶴は千年、亀は万年」ということわざから、折り鶴にはもともと、病気の快癒と長寿の願いを込めて病人への見舞いに贈る習慣がある。広島市に投下された原爆で被爆した佐々木禎子さんが、自身の白血病の回復を願って鶴を折り続けたというエピソードが「Sadako and Thousand Paper Cranes(サダコと千羽鶴)」として英語圏でも知られるようになり、今では折り鶴は世界平和を象徴するシンボルへとなっていった。
今月6日、オバマ米大統領が自ら折った2羽の折り鶴を長崎市とこの資料館に贈り、「私たち両国は他の多くの国々と共に核兵器の無い世界に向けて力を合わせていかなければならない」というメッセージを届けた。
「米大統領オバマ氏が長崎市に贈った折り鶴とメッセージ(長崎市提供)」
さまざまな折り鶴に込められた世界平和への祈り。混とんとした世界情勢を見たときに、果てしなく長く思える平和へのプロセスが、多くの祈りによって支えられていることを実感せずにはいられない。
(冒頭の写真:入り口から資料館に向かう地下へと続くらせん状のスロープに添うように展示されている連鶴)