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60品種以上のかんきつ類の親子関係を判明、世界初の成果 農研機構など

60品種以上のかんきつ類の親子関係を判明、世界初の成果 農研機構など

農研機構と国立遺伝学研究所、京都大学のグループが6日、かんきつ類の15種の全ゲノム配列を解読。品種・系統269点について遺伝解析した結果、60品種以上のかんきつ類の親子関係が明らかになったと発表した。かんきつ類で一度にこれだけの品種の親子関係を明らかにしたのは世界初の成果だという。

身近な食材であるかんきつ類は、温州ミカン、レモン、ユズ、イヨカン、ナツミカンなど150を超える品種が知られている。これらは少数の祖先品種を掛け合わせて栽培品種として選抜されてきたと考えられるが、親子関係はほとんど分かっていなかった。というのも、こうした親子関係の解析にはDNA マーカーが利用されるが、かんきつ類は遺伝的な多様性に富んでいるため、親子間で矛盾する結果が得られる場合が多く、正しく推測することが困難だったためだ。

今回、品種を特徴づけるDNAマーカーを新たに開発し、国内外の品種・系統 269 点に及ぶさまざまな品種の遺伝解析を実施した。その結果、温州ミカンやイヨカン、カボスやハナユなど22品種で両親となる品種を特定。さらに、葉緑体とミトコンドリアの解析から種子親と花粉親の組み合わせを明らかにした。また、ハッサクやヒュウガナツなど45の在来品種において片親となる品種を推定し、温州ミカンなどの親であるクネンボが紀州ミカンの子どもであること、クネンボや日本固有のかんきつとされているタチバナが複数の起源を持つことなどを明らかにし、それらを親とする品種を特定した。紀州ミカンが多数の品種の親となっていることや、スイートオレンジを親とする品種があることも明らかとなった。

同研究により、インド東北部からアジアにわたる地域が起源と考えられる祖先品種が、世界各地へどのように伝来し、現在のような多様な品種になったのかが明らかになる可能性がある。さらに、見つかった親を再度交配することで現在の品種を超えるものを新しく育成することや、これまで未利用だった品種との交配組合せの可能性を示すことで、優れた性質を持つ新しい品種の開発に応用できるものと期待される。

画像提供:農研機構, 国立遺伝学研究所, 京都大学

参考記事
温州ミカンの“両親”が明らかに 農研機構がDNA親子鑑定(2016/12/11)

 
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