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ウイルスの光検出感度が2倍に 大阪府立大の研究チームが成果

ウイルスの光検出感度が2倍に 大阪府立大の研究チームが成果

大阪府立大学キープロジェクトの研究チームは5日、ウイルスや細菌などの検体を光検出する際の検出感度を、従来の2倍近くにすることに成功したと発表。多細孔型バイオセンサーの表面にランダムなナノ突起構造を付与することで実現した。さらに、光で検体を突起先端に誘導することで検出効率が向上したという。作製には高価な装置を使わないことから、医療現場や食品メーカーにおける検体検査の低コスト化が期待できる。

多細孔型バイオセンサーは、金属薄膜に数百nm程度の大きさの穴を周期的に開けた金属ナノ薄膜(ナノホールアレイ)からなる(n=ナノは10億分の1)。この金属に光を照射すると、光の特定の波長が金属内の自由電子を振動させて自由電子の集団振動を引き起こし、これが穴を通過した透過光として放出される。つまり、特定の波長を持つ光のみが穴を透過するようになる。この金属ナノ薄膜の表面にウイルスや細菌が付着すると、透過光の波長に変化が生じることから、これを利用して検体を検出できる仕組みだ。

大阪府立大学の研究チームで光物性を専門とするメンバーはこれまで、「光応答」という現象の研究を行っていた。「光応答」とは、金属の突起構造に光を照射すると、自由電子の集団振動が突起部分に局在する現象が生じ、この近くに誘電体がある場合には誘電体にもその集団振動の映り込み(=鏡像)が高効率で生じるという現象のこと。この「光応答」を金属ナノ薄膜に適用することを思いつき、薄膜表面にランダムな突起構造を持たせることで、ウイルス中に自由電子の集団振動の映り込みが生じ、センサーを高効率化することを目指して研究をスタート。結果として突起構造のあるものは、ランダムな突起構造がないものに比べて2倍近い検出感度を得た。

今後、透過光の波長の変調効果の実証実験や、実用的な検出システムの開発を達成できれば、低コストでの検体の検査が期待できるという。

画像提供:大阪府立大学

 
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