処理速度トレーニングで高齢者の認知力と抑うつ気分に効果、東北大
東北大学学際科学フロンティア研究所の研究チームは、タブレットPCを使って情報を速く、正確に処理する能力を鍛える「処理速度トレーニングゲーム」を開発。高齢者を対象に、このゲームを行なったグループと、同じ時間と期間で知識クイズを行なったグループとで比較したところ、前者の方が認知機能と抑うつ気分(気分の落ち込み)が改善したことを明らかにした。
研究チームが着目した処理速度トレーニングのゲーム内容は全て、ターゲットの検出、識別、区別、位置の特定を、できる限り素早く行なうというもの。処理速度トレーニングは予備実験によって得た反応時間やゲームの難易度(レベル)に基づいて開発されている。レベルは1~8まであり、被験者の正解率によって変わる。ゲームの内容としては、タブレット画面上の色々な位置にある数字を小さいものから順にできるだけ速く繋ぐものや、図形と番号を関連づけて、表示された図形に対応する番号を選ぶなど、高齢者にも取り組みやすい内容となっている。
一方、知識クイズは例えば反意語や同義語を含む言葉の意味や、漢字の読みや四字熟語を答えるもの、日本の小説や俳句の作者、地理や城、都市等の社会に関するクイズに答えるというようなもの。知識クイズでは処理速度という要素を減らすため、回答時間は10秒に固定し、すぐに答えられてもクイズを進めず、また、正しい答えについて急がずに考えてもらうようにした。クイズには同等の難易度を有する8つのステージが用意されており、ステージが上がると単純にクイズの数が増えるようになっている。
研究チームは、これら2種類について、平均年齢68.92歳の高齢者72名を2グループに分けて、1日15分のトレーニングを週5回以上、4週間実施。双方のグループにおいてトレーニング介入前後で、認知機能検査と心理アンケートを行ない、トレーニングによる変化を計測した。その結果、処理速度トレーニングゲームを行なった方が、認知機能が向上し、抑うつ気分が低減していることが分かったという。
画像提供:東北大学(処理速度トレーニングゲーム(A,B,C)と知識クイズ(D)の例)