9年半を経て冥王星の素顔を捉える 14日、探査機が最接近

米国が2006年1月に打ち上げた人類初の冥王星探査機「ニュー・ホライズンズ」が、9年半にわたる飛行を経て、日本時間で7月14日午後8時49分57秒に冥王星への最接近を果たす。冥王星の軌道には入らず、冥王星から1万3695kmのところを時速4万9600kmで通過(フライバイ)する。冥王星は地球から48億kmも離れているため、2006年8月に準惑星に分類されるまで最果ての惑星とされ、地球の望遠鏡では表面の詳しい様子さえ分かっていなかった。

同探査機は今年1月から少しずつ冥王星の観測を始め、6月以降は7つあるすべての観測機器でデータを最大限集め、8ギガバイトのフラッシュメモリにいったん蓄積。その後、冥王星から遠ざかりながら蓄積したデータを地球に向けて送信する。非常に距離があるため、通信速度は1秒当たり96バイトと非常に遅く、すべてのデータ送信が完了するのは来年4月になる見込み。

冥王星への最接近を目の前にした日本時間7月5日未明に、地球との通信ができなくなるトラブルが発生した。一部の機器しか動作しない状態(セーフモード)が1時間ほど続いた。調査の結果、測定データの圧縮作業中にフライバイに関するコマンドを連続して受信したことで過負荷状態に陥ったためと判明した。

最接近時に同じ問題が起きる可能性は低い。長い旅路の果てに、ようやく冥王星の素顔を捉えることができそうだ。

画像提供:NASA/JHUAPL/SWRI
Pluto as seen from New Horizons on July 11, 2015.