福島第一原発事故の影響を気にする中国 実際は

福島第一原発事故の影響を気にする中国 実際は

中国でにわかに福島第一原子力発電所の放射線量への関心が高まっている。同発電所で新たな事故等は起きていないが、中国メディアが先日東京電力が発表した2号機の「格納容器内部の放射線量」の数値を取り上げ、福島近辺の危険性をクローズアップしたり、中国外交部が言及したことが発端のようだ。しかし、この報道について理解するには、実際に福島県内の「生活圏の放射線量」がどの程度のものなのかを知っておく必要があるだろう。

中国メディアと外交部が言及

中国外交部は6日の定例記者会見で、「東京電力が福島第一原発2号機の格納容器内部で撮影したビデオ画像を解析した結果、放射線量が最大で毎時530シーベルトに達すると推定していることが報じられた。人がそのような放射線に曝されると、数十秒で死に至る。中国側は懸念しているか?日本を旅行する中国国民に影響はあるか?」という質問に対し、「中国外交部はすでに関連する安全警告を公表している。中国国民は自分の旅行計画を適切に手配し、良好な安全策を講じると確信している」と回答した。

また人民網日本語版は20日、「福島第1原発事故の影響はどれほど深刻? 日本の華人の見方は?」と題した記事を掲載。「発電所付近の大気中の放射線量は依然として高いものの、離れている場所なら何の問題もないというのは事実だ。覚えておかなければならないのは、最近検出されているデータは、2011年の事故が原因で、また別の事故が起きたわけではないことだ」と記す一方で、「福島の近くや東部の海は絶対に汚染しているというのが一般的な見方」と紹介した。

福島県内も自然レベルの放射線

福島県立福島高校の生徒たちが、部活動として県内外の個人放射線量を調査した「D-Shuttle Project」をご存知だろうか。「福島の現状を正しく世界の人々に伝えたい」という思いから、2014年に県内6校、県外6校、欧州3か国12地域で合計216人について、1時間ごとのガンマ線の線量を2週間にわたって計測した。その結果、県内外でも欧州でも線量分布はほぼ同等であること、年換算の線量もまた差異がないこと、福島県内の高校生の個人線量は、ほぼ日本の自然放射線量のレベルにあることがわかっている。

廃炉にはまだ膨大な時間がかかることや、原子炉内の格納容器内部では未だに非常に高い放射線量であることは事実だ。しかし、「汚染されているのでは?」といつも不安に思う必要はないだろう。

福島第一原発事故の影響を気にする中国 実際は
2号機 原子炉格納容器内部調査における堆積物除去作業の実施結果

画像提供:中国外交部(冒頭の写真)・東京電力

 
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