米国研究者ら、「花粉症薬の長期使用が認知症の発症リスクを増大」
米国ワシントン大学のシェリー・グレー氏らが米国医学誌『ジャマ・インターナル・メディスン(JAMA Internal Medicine)』で1月26日、抗コリン作用を有する薬の長期使用が認知症の発症リスクを増大させるとの研究結果を発表した。
抗コリン作用の強い薬としては、花粉症などのアレルギー疾患や乗り物酔い防止に使用される第一世代の抗ヒスタミン薬、うつ病の治療に使用される三環系抗うつ薬、過活動膀胱の治療に使用されるムスカリン受容体拮抗薬などがある。一般に、抗コリン薬による一時的な認知障害は治療の中止によって回復可能と考えられており、抗コリン薬と長期的な認知症との関連を示した報告は今回が初めてとなる。
同研究ではワシントン州シアトルの認知症でない65歳以上の男女3,434人を平均7.3年追跡調査した結果、797人(23.2%)が認知症を発症し、このうち637人(79.9%)はアルツハイマー病であった。彼らの薬歴を調査した結果、抗コリン薬を10年間使用したことと認知症、アルツハイマー病の間に相関関係が見られたという。
花粉症薬は市販薬も多く気軽に服用する機会が多い。適切な服用量を守り、症状の改善が見られない場合は自らの判断で長期間使用したりせず医療機関を受診したい。