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近年話題の「昆虫食」とは?(後編)~未利用資源としての有用性~

近年話題の「昆虫食」とは?(後編)~未利用資源としての有用性~

前回は、筆者の昆虫食体験リポートにお付き合いいただいた。今回は、昆虫食の有用性についてまじめに考えてみたい。

そもそも昆虫食とは何か?

国際連合食糧農業機関(FAO)によると、昆虫食とは文字どおり人間が昆虫を食べることだ。昆虫食はさまざまな国で行われており、特に、アジア、アフリカ、南米でもっとも盛んだ。昆虫食は現世人類になってからずっと行われてきたが、最近になって再び注目を集めるようになった。その理由は、世界的な人口増加や中流層の増加により、動物性たんぱく源の需要が増えてきたことだ。2030年には90億人にもなると予測されている人口を養うために、家畜のエサを増産する必要が出てくる。しかし、家畜生産や過放牧は、環境汚染や森林衰退につながる恐れがあり、環境を悪化させることが懸念されている。

そこで、新たな動物性たんぱく源の一つとして出てきたのが昆虫だ。昆虫はたんぱく質と良質な脂肪、カルシウム、鉄、亜鉛を高い割合で含んでおり、100gあたりに換算すると牛肉より含まれる鉄の量は多い(例えば、牛肉は6mg、イナゴ類は8~20mg)。この観点から考えると、たとえば昆虫を食用に殖産した場合、過剰に耕作をする必要がなく、より多くの貴重な生物種に影響を及ぼすことを避けることができるというのだ。

昆虫を食べないといけないのか

虫が苦手な人にとって、「食べなければならないのか?」というのは、おそらく誰もが心配することだろう。しかし、FAOが言うには、「私たちは人々に虫を食べるべきだと言っているのではない」ということだ。ここで、昆虫は森林資源の一つであり、食糧としての可能性のあるものだが、未利用なものであると言っているだけなのだ。また、昆虫を家畜やペットのエサとして利用できれば、今まで家畜に回っていた魚を人間が食べる分に回せるというメリットがあるとしている。そのためには、法律の整備や生産工程のルール作りが必要であり、課題が多いということも述べている。

今すぐ昆虫食、というわけではない

実際のところ、現在増え続けている人口を養うためには、畑での作物栽培だけでは限界がある。畑を切り開くために森林が破壊されている現状もあり、食糧増産と環境保護が両立できていない現状もある。

「昆虫食」と聞くと、生のまま昆虫を食べるというイメージが強いかもしれないが、これまでも人類はそれなりに食べやすい方法を見出して昆虫を活用してきたというのも、また事実。地球環境を持続的に維持しながらも食糧増産を目指すという希望を両立させるには、昆虫のみならず多くの有用な未利用資源を活用していく必要がありそうだ。

なお、3月5日(日)14時から、東京都練馬区立稲荷山図書館で昆虫食に関する講演会が行われる。興味のある方は行ってみては。

昆虫食講演会 ~昆虫を食べる未来を語る~(練馬区立図書館)
https://www.lib.nerima.tokyo.jp/event/detail/1611

(写真はイメージ)

 
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