巨大ロボット同士の日米対決、1年後に実現へ
6月30日、米国MegaBots社が日本の水道橋重工に対し、巨大ロボット同士での対決を1年後に行おうとYouTube上で申し入れた。水道橋重工の創業者兼最高経営責任者であり、搭乗型ロボット「KURATAS(クラタス)」の開発者である倉田光吾郎氏は7月5日、「巨大ロボは日本文化であり、海外に取られたくない」と、YouTube上でこの挑戦を受けて立つことを表明した。
水道橋重工のクラタスは、鍛冶師であり造形作家である倉田氏が「巨大ロボに乗りたい」との思いから2010年6月に着工し、ロボット制御エンジニアである吉崎航氏が開発した人型ロボット用演技指導ソフト「V-Sido(ブシドー)」を使って、誰でも簡単に操縦できるように開発された全身鉄製の巨大ロボット(アート作品)。量産機のプロトタイプが2012年7月に公開された。高さ4メートル、幅3メートル、重量4トン、油圧駆動する2本の腕を備え、車輪付きの4本の足で自走することができる。コックピットに実際に搭乗して操縦可能(定員1人)で、BB弾を撃つことや水で推進するペットボトルロケットを撃つことなども可能だ。水道橋重工のウェブサイト上でBTO(Build to order)形式での完全受注生産に応じており、価格は1台135万3500米ドル。現在在庫切れながら、Amazonでも両腕なしのクラタス・スターターキットが販売されている。
このクラタスに挑戦状を送りつけたMegaBots社は、「アメリカの発明と根性の成果」の末に5.4トンの巨大ロボット「メガボット2号機」を完成。コックピットは複座式で、キャタピラ走行。アメリカらしく巨大な銃を備え、1kgのペイント弾を時速160kmで発射できるという。人が搭乗して戦うロボットとしてはクラタスに先を越されて世界初になれなかったものの、アメリカ初の巨大ロボットとなった。そこで「水道橋! 俺たちには巨大ロボットがある。お前たちにも巨大ロボットがある。次に何が必要かは分かるだろう? 俺たちは決闘を申し込む」と申し入れてきたのだ。
倉田氏は挑戦状が公開されてすぐの7月1日のブログ上で、「さすがアメリカ人。挑戦云々は後にして、その前に言いたい。日本はなにをやってんだ、、、こういうのは、日本の巨大ロボ同士が戦って、勝ち残ったヤツがアメリカなりに乗り込むってのが筋だろ、、、。クラタス作ってから四年も待ってたのに、モタモタしてっからこんな事になるんだよ、、。オレはマジで悔しい」と書き込み、返答後の6日のブログ上では「戦いに憎しみ持ち込んだら戦争、憎しみの無い戦いはスポーツというのがオレの認識。今回は間違いなく後者、スポーツ。だって、自分で作ったロボット自慢したくてこんなバカ動画送ってくる連中だぜ。まだ会った事もないけど、オレ、こういう連中大好きだもん。全力で遊んでやんよ。でも負けねぇぞ」と書き込んでいる。
両者共に人が搭乗して操縦できる巨大ロボットではあるものの、殴り合いの格闘戦用に作られている訳ではない。実際にどのような形式で決闘が行われるのかまだわからないが、1年後に向け、双方で対戦用の改造が重ねられていくだろう。当分の間、目が離せない。