セダカヘビの歯並びは非対称「食の多様性の表れ」京大調査
京都大学白眉センター特定教授の細将貴氏らの研究グループが、ヘビはカタツムリ食に特化した個体よりも、ナメクジ食に特化した個体のほうが歯の本数の左右対称性が高いことを明らかにした。研究成果は2日に科学雑誌「PeerJ」に掲載された。
脊椎動物は歯の数が左右で同じとされているが、東南アジアに生息するセダカヘビなどは左右の歯の数が非対称で、例外とされていた。ただし、この種類のヘビの歯列非対称性は一様ではなく種や地域ごとで異なるため、研究グループは今回、歯列非対称性は食性によるものと仮説を立て、これらのヘビの歯列と食性について調査した。
調査は、台湾北部に生息するタイワンセダカヘビとタイヤルセダカヘビの2種を対象に実施。研究グループは半径4km以内で両種を捕獲し、エサの好みとその歯並びの左右非対称性を調べた。調査の結果、タイワンセダカヘビはナメクジばかりを食べ、タイヤルセダカヘビはカタツムリもナメクジも食べることが確認された。両種とも歯の本数はほぼ同数で、歯並びはカタツムリを食すタイヤルセダカヘビよりもナメクジのみ食すタイワンセダカヘビの方が左右対象に近かった。
両種は共通のエサを巡って競争する関係にあると考えられてきたが、研究グループは、エサの好みに違いがあることで同じ地域で共存できている可能性があるとしている。研究結果から研究グループは「歯並びの多様性は食の多様性の表れではないか」と述べている。
画像提供:京都大学