【世界が見える! 米株ウォッチ】FBI長官解任の衝撃広がる、ハイテクが堅調
アメリカ株式市場で見る世界動向通信
5月8~12日のニューヨーク株式市場、ダウ平均株価(30種)は、ほぼ世論調査どおりの結果となったフランス大統領選挙によって安心感が広がったものの、大幅上昇とはならなかった。北朝鮮が核実験を示唆する報道や、トランプ大統領がコミー連邦捜査局(FBI)長官を突然解任したことなどを受け、市場全体に先行き不透明感が広がった。
8日のダウは、前週末比5.34ドル上昇の2万1012.28ドルだった。フランスで中道のマクロン大統領が誕生したことで安心感が広がったが、市場は既に織り込み済みだったこともあり、大幅上昇とはならなかった。米国の著名投資家ウォーレン・バフェット氏がアップルの株を買い増したと伝わったことでアップルが上昇、アップルの時価は史上初となる8000億ドルを上回る場面もあった。アップルの上昇が影響し、ハイテク銘柄の割合が高いナスダックは最高値を更新した。
9日は反落、2万975.78ドルだった。一部欧米メディアで北朝鮮が核実験を示唆したことが伝わると、下落基調となった。ドル円為替は安全資産と呼ばれる円に資金が流入し、一時的に円高が進んだ。引き続きハイテクへの期待は高く、ナスダックは連日の高値。
10日は続落、2万943.11ドルだった。トランプ大統領によるコミーFBI長官の突然解任で、今後の政策実現への不透明感が広がった。原油価格上昇でエネルギー関連が買われた。注目が集まっていた韓国大統領選では文在寅(ムン・ジェイン)氏が当選。トランプ大統領は、文氏を正式に米国に招待することを発表した。
11日は続落、2万919.42ドルだった。FBI長官解任の衝撃が残る中、小売り大手のメーシーズの決算が予想を下回り、メーシーズを含む小売り全体が売られた。アマゾンなどが躍進する中、実店舗の苦戦が浮き彫りとなった。
12日は続落、2万896.61ドルで今週の取り引きを終えた。4月の小売り売上高や消費者物価指数などの指標が予想ほど伸びなかったことが意識された。ハイテクへの期待は引き続き強く、ナスダックは上昇した。
(写真はイメージ)