「アブラハムの墓所」含むヘブロン旧市街が世界遺産に
ユネスコ世界遺産委員会は、ユダヤ教徒およびイスラム教徒の聖地とされるヘブロンの旧市街を、新たに世界遺産リストおよび危機遺産リストに登録すると発表した。7日付の独ツァイト紙オンライン版が報じた。
ヘブロンはヨルダン川西岸にあるパレスチナ自治区にあり、ここには旧約聖書に記されているユダヤ教およびイスラム教、そしてキリスト教の始祖であるアブラハムの墓所があると伝えられている。この場所には、同地がイスラム教徒の支配下に置かれたマムルーク朝時代(1250~1517)に「アブラハムのモスク」が建てられており、ユネスコは今回の決定において特にこのモスクの保護を訴えている。一方ヘブロンは1998年以降、パレスチナ自治区とイスラエル人の入植地域とに二分されており、この「アブラハムの墓所」をめぐっては歴史的に対立関係が続いている。
ヘブロンの世界遺産登録に対しパレスチナ側は歓迎の意を示し、「外交上の勝利」と表現。一方でイスラエル外務省は「道徳的に恥ずべき出来事」と言明し、「この街におけるユダヤ人の歴史を無視し、間違った歴史を広げる行為だ」と怒りをあらわにしてユネスコを非難している。
ポーランドのクラクフで開かれている世界遺産委員会は今回、世界遺産への新規登録申請33件への審査と、危機的状態に瀕している危機遺産への審査を行なっており、「危機遺産」審査対象の中にはシリア国内にある6件の世界遺産も含まれている。
(写真はイメージ)