NASAのスピッツァーミッション 最寄りの岩石惑星を確認

米航空宇宙局(NASA)は7月31日、スピッツァー宇宙望遠鏡での観測で、太陽系外の惑星としては最寄りの「岩石惑星」を確認したと発表した。

23日に発見された地球の「いとこ惑星」ケプラー452bは1400光年の彼方だが、この岩石惑星HD 219134bは、カシオペヤ座の方向に21光年の近さにある。現在、最も速いスピード(秒速17km)で飛んでいるボイジャー1号でも37万年かかる計算だ。

今回確認された岩石惑星は、カナリア諸島にある3.6メートルのガリレオ国立望遠鏡に取り付けられたHARPS-North(北半球の高精度視線速度惑星探査)機器を使用して発見され、天文学誌アストロノミー&アストロフィジックスで発表された。視線速度法は太陽系外の惑星を探すときに使われる方法の1つで、主星が惑星の存在によってふらつくことで生じるドップラー効果によるスペクトル変化を用いる。これにより、岩石惑星の質量は地球の4.5倍、公転周期はわずか3日で、赤色矮星である主星HD 219134の非常に近いところを回っていることが分かった。熱すぎて、生命が存在できる可能性はない。

そしてスピッツァーの赤外線測定で、岩石惑星の大きさはケプラー452bと同じく地球の1.6倍。岩石惑星で地球の数倍程度の質量である「スーパーアース」に分類されることが明らかになった。大きさが地球の1.6倍で密度が地球と同じであれば、質量は大きさの3乗で求まり4倍となる。今回の惑星の質量は4.5倍なので、密度は地球より少し大きく、系外惑星として初めての岩石惑星であると結論付けられた。

この惑星は地球から見て主星の前を横切っているため、惑星に大気があれば組成まで観測できる可能性がある。

画像提供:NASA