ご当地自慢を探せ!(19)グラバー園で味わう「長崎カステラ」
子どもに人気の絵本「ぐりとぐら」に登場する、黄金のふわふわのカステラ--。カステラはいまや日本の定番のおやつとなっているが、もとはポルトガルから平戸や長崎に伝わった南蛮菓子をもとに日本で独自に作られた和菓子だ。
「長崎カステラ」と呼ばれるものは、実は長崎銘菓という意味ではなく、製法が同じものをさす総称だ。鶏卵を泡立て、小麦粉と水飴を混ぜ合わせ正方形または長方形の大きな型に流し込んで、オーブンで焼いた後にさお型に切ってある。材料が鶏卵、小麦粉、砂糖のみで作れる簡素なものであることから、乳製品を常用しなかった16~17世紀の日本でも定着できたようだ。
口に入れるとしっとりした食感と甘みが口に広がるのが特徴で、最近では定番のカステラのほか、外側をチョコレートでコーティングしたものや、カステラ味のラスクなども、長崎のお土産として人気だ。
カステラの名前の由来は、一般的にはスペインの地方名カステリヤのポルトガル語発音である「カステーラ(Castela)」で、これが「かすていら」もしくは「かすてえら」となり、転じて「カステラ」となったと言われている。他には、製造過程でメレンゲを作る際に「高く高くなれ! 城(Castelo、カステロ)のようになれ!」といったことからカステラになったという説もある。
長崎のカフェは、たいていカステラと飲み物のセットメニューがあることが特徴的だ。大浦天主堂から歩いていけるグラバー園の一角に、「自由亭」というカフェがある。この日はカステラと水出しコーヒーのセットを注文し、ほっと一息ついた。
自由亭は、日本人初の西洋料理店シェフとなった草野丈吉が開いたレストラン。1878(明治11)年に建てられ、検事正官舎として使用されていたが、1974(昭和49)年にグラバー園に移築された。木造2階建ての洋風建築で、2階の喫茶室は港が一望でき、眺めが抜群。グラバー園の中でも人気の休憩スポットとなっている。
長崎にゆかりの深いオランダ人の手で考案されたダッチアイスコーヒーは、24時間かけて水で一滴ずつ抽出されており、香り高く濃厚。自由亭のおすすめメニューとのことだ。一杯590円からで、カステラとのセットは780円。観光で歩き疲れた体にカステラの甘さが染み渡った。
【店舗情報】
旧自由亭(喫茶室)
長崎県長崎市南山手町8-1 グラバー園内
http://www.glover-garden.jp/pick-up/tea-room
TEL:095-823-8770
営業時間:9:00~17:30(時期により9:00~19:30)