洪水時の避難に一助 水位計、全国河川に普及へ
国土交通省は、洪水時に特化した低コストの水位計の試験計測現場の見学会を9月7日に開催する。全国の中小河川の多くで水位計が設置されておらず、逃げ遅れによる人的被害が発生している現状を受け、低コストの水位計を開発。来年には全国の中小河川への水位計設置を進め、普及を図る。
毎日新聞の調べでは、全国2万1004河川のうち、水位計が設置されていない河川が7割以上に及ぶ。水位計の設置コストが1台当たり数千万円と高額であるため、導入が進んでいないという。
同省は民間企業とともに、洪水時の水位計測に特化した水位計を開発。初期コストを1台当たり100万円以下に抑えたほか、計測データを洪水時に限定することでデータ量と通信コストを抑え、維持管理コストも低減した。また、小型化により設置しやすくし、無給電で5年稼働と長期間メンテナンスが不要となる。
横浜市を流れる鶴見川水系鳥山川で今月から試験計測を始めており、年内に機器開発を完了、来年から順次現場へ設置していく予定だ。
7月上旬に九州北部豪雨で氾濫した河川の多くは水位計が設置されておらず、避難勧告を判断する材料が得られなかったという。これを受けて大分県は今月、九州北部豪雨の被害を受けた日田市の2つの河川3か所に、試験的に簡易型の水位計を設置している。
(写真はイメージ)