NEDO、自然エネルギーと水素で大容量電源開発 実証開始
新エネルギー・産業技術総合開発機構(NEDO)は、東北大学と前川製作所とともに「電力・水素複合エネルギー貯蔵システム」を新たに考案・開発し、仙台市茂庭浄水場にて実証運転を開始したと25日に発表した。これは、水素によるエネルギーの貯蔵・利用システムと再生可能エネルギーでの発電を組み合わせたエネルギーシステムで、災害時に停電が発生した際に燃料が調達できなくても、太陽光などの再生可能エネルギーで継続運転が可能になるという。
東日本大震災での停電時には、非常用に設置していた自家用発電機が各所で使用されたが、燃料不足や動作不良などでトラブルも発生。主要な浄水場でも想定されていた24時間をはるかに超える停電となり、燃料確保や浄水場機能維持が困難となったという。
また、同震災で発生した福島第一原子力発電所事故以来、再生可能エネルギーへの転換を求める社会的機運が一気に高まり、NEDOは2014年から水素社会構築技術開発事業の一環で同浄水場とエネルギーシステムの開発をしてきた。
今回開発された、「電力・水素複合エネルギー貯蔵システム」では、水素貯蔵システムと電力貯蔵装置を組み合わせ、太陽光などの再生可能エネルギーから得た電力を用いて水素を製造。天候や時間帯によって供給・出力量に変動が大きい再生可能エネルギーの特徴に対し、発電できる時間帯は余剰エネルギーを用いて水電解装置で水素を製造し、供給が不足する時間帯は製造しておいた水素で燃料電池による発電をして出力量を一定にすることができる。
同システムでは、再生可能エネルギーを使うため、燃料調達ができない状態でも運転を継続できる利点があり、水素エネルギーでは3日分のエネルギーを貯蔵できるようになるという。
NEDOは実証実験を通して、外部からの燃料調達に依存しない大容量非常用電源技術を確立し、災害時に停電が発生しても安定的に継続運転できる浄水場を実現するとしている。
画像提供:NEDO(冒頭の写真はイメージ)