車載用リチウムイオン電池、世界市場の拡大は緩やかに続く
矢野経済研究所は、電気自動車(EV)に搭載されるリチウムイオン電池の世界市場に関する調査結果を発表した。今年も市場の拡大は続いているものの、各国政府の普及支援策が縮小傾向にあり、伸びは鈍化した。
2016年のリチウムイオン電池の市場規模は、前年比152.6%と伸長したが、2017年は前年比123.3%となる見込み。伸びの鈍化には、中国政府の補助金の削減、電気バス向けに対する補助金支給基準の厳格化が影響しているという。
同研究所によると、2017年から各国政府のEV普及支援策が縮小されていくが、その支援策が完全になくなるまでは市場は拡大していく見込み。
欧州では内燃機関車の新車販売を禁止する動きがあり、ドイツは2030年から、英国とフランスは2040年から実施すると発表。各国の環境規制がさらに厳しさを増すことを背景に、今後もEV市場は緩やかに成長していくと予測している。
一方、価格の高さや充電インフラの整備が進まないことなどが本格普及拡大の足かせとなっている。航続距離を長くするためにリチウムイオン電池の高容量化や、電池価格のコストダウンがメーカー各社に強く求められている。
調査は、4~9月にかけて自動車メーカー(日本、欧州、米国、韓国、中国)、車載用リチウムイオン電池メーカー(日本、韓国、中国)に面談や電話、メールで実施した。
(写真はイメージ)