メコン川流域の新種115種、多くが絶滅の危機 WWF

メコン川流域の新種115種、多くが絶滅の危機 WWF

世界自然保護基金(WWF)は19日、メコン川流域での生物調査によって2016年の1年間に115種の新種が発見されたと発表した。しかしこれらの新たに見つかった種の多くがすでに絶滅の危機に瀕しており、WWFは早急な保全の取り組みが必要であることを訴えている。

メコン川はチベット高原から南シナ海まで4000km以上を流れる東南アジア最長の大河で、インドシナ半島の流域にはサバンナから熱帯雨林まで多様な景観が存在し、生物多様性の宝庫としても知られている。

WWFの調査で2016年に発見された新種は哺乳類3種、魚類2種、爬虫類11種、両生類11種、植物88種の計115種。WWFは1997年から同地域の調査を行ってきたが、その調査で発見された新種の合計数は2524種になる。

しかし、流域の急激な開発による環境破壊、そして密猟や違法取引により、新たに発見された種の中にもすでに絶滅の恐れがあるものが多く確認された。

中国南部からベトナム北部の森に生息するベトナムシナワニトカゲは、2003年に発見されていたが2016年に在来種と別の亜種と認定された。石炭採鉱などによる生息地の破壊や、ペット取引により深刻な危機に瀕しており、ベトナムで生存するのはわずか200頭と見込まれている。

WWFメコン・プログラム代表のスチュアート・チャップマン氏は、「このメコン川流域は、素晴らしい自然環境や野生生物が存在します。そしてそれだけでなく、多くの人々が生きていくためにも必要な場所です。貴重な自然や野生生物を保全しながら、人の暮らしも持続可能に続けられるよう、活動を続けます」とコメントした。

画像提供:WWF