「八王子隕石」とされる隕石小片を分析 極地研など
国立極地研究所、九州大学などの研究グループは12月28日、八王子隕石とされる隕石の小片を初めて詳細に分析した。分析の結果、小片が八王子隕石だという確証は得られなかったと発表した。
1800年代に落下した、八王子隕石と曽根隕石
八王子隕石とは、約200年前の1817年12月29日に、現在の八王子中心部の約10㎞の範囲に多くの破片が落下した隕石雨と呼ばれる現象とその隕石のこと。落ちた隕石の一部は江戸幕府勘定奉行所に届けられ、天文や暦算に従事する天文方によって調べられたが、現在までに散逸して失われた。その後、1950年代に京都の
古典籍の中から見つかったのは、どちらの隕石?
隕石の小片と曽根隕石を詳細に分析し、両者に違いが見つかれば小片が八王子隕石である可能性が高くなるが、これまでの技術では、微量な隕石小片を分析することが困難だった。
今回、同研究グループは「はやぶさ」が持ち帰った粒子の分析にも用いられた、最新技術で分析を実施。その結果、分析した小片も曽根隕石も「普通コンドライト」と呼ばれる種類の隕石で、鉱物組成は誤差の範囲で同一だった。また、普通コンドライトは全隕石の約18%を占めている最も多い種類の隕石のため、八王子隕石と曽根隕石が同じ種類の隕石だった可能性も十分あるという。
今回の分析結果は学術専門誌に投稿する予定。八王子隕石は数多く降り注いだとされるので、今後、広く一般に呼び掛けることで八王子隕石の発見と分析を進めていく。
画像提供:国立極地研究所