羽生結弦 金メダルを取れた理由を採点法から分析!【ニュースのコトバ解説】
平昌オリンピックで羽生結弦選手が、フィギュアスケート男子では66年ぶりとなる2連覇を達成しました。ショートプログラムでは自身が持つ世界最高記録(112.72点)に迫る111.68点を出して首位を獲得。フリーでは4回転からの3連続ジャンプでミスが見られたものの、続くトリプルアクセルを3連続ジャンプに変更し206.17点を獲得。2位につけ全体でトップに立ちました。感覚的に見るだけも圧巻の演技でしたが、その勝敗を分ける「得点」はどのように判断されているのでしょうか? フィギュアスケートの「採点法」を知ると、その勝因をさらに理解できます。ここではフリーの演技に着目して分析してみましょう。
フィギュアスケートの採点法
まず、採点法について確認してみましょう。得点は、「技術点+演技構成点-減点」で算出されます。技術点は、「ジャンプ」「スピン」「ステップ」の3つの中で行った技の合計点により算出されます。そして、それぞれ技の得点は、技の難易度よって決められている「基礎点」と、出来栄えによって加算、減算される「GOE」によって決まります。
演技構成点は、演技審判が「スケート技術」「要素のつなぎ」「パフォーマンス」「振り付け」「音楽の解釈」の5つの項目を10点満点で採点し、それぞれの項目で最高点と最低点を除いて残った点数を平均したものが有効な点数となります。男子フリーの場合、それぞれの項目の点数を合計し、2倍したものが最終的な演技構成点です。ちなみに、最終的な演技構成点は技術点と大体等しくなるように設定されているため、女子フリーでは1.6倍とされており、係数が異なっています。
他選手と比べて質が高い羽生選手のスケート
それでは羽生選手のフリー演技はどのような得点だったのでしょうか。羽生選手は他選手に比べ、GOEが16.99点と高い点数でした。2位の宇野選手を9点も上回り、フリーで5回中4回も4回転ジャンプを成功させたネイサン・チェン選手と比較しても、4点ほど上回っています。また演技構成点が高いことも羽生選手の特徴です。フリーで1位だったネイサン・チェン選手よりも9点ほど上回っています。このように羽生選手は、スケートの質が高いことが金メダルに繋がったと言えるでしょう。
さらに今回ジャンプのミスにより予定していたものが飛べなかったのですが、ジャンプ構成を変更して連続ジャンプを飛び得点を稼いだことも勝因の一つとなっています。羽生選手は、元々設定していた基礎点が2位の宇野選手やネイサン選手より低い構成でした。そのような中で、ミスをしても失点を防ぐ対応力が羽生選手にはありました。技術面もさることながら、努力を重ねて怪我も乗り越え、大舞台で実力を出し切ったその精神力が羽生選手を金メダリストたらしめたのではないでしょうか。