「復活」の意味 イースターの由来と祝い方【ニュースのコトバ解説】
クリスマスやハロウィンに次いで、近年日本でもじわじわと認知度を上げているイースター(復活祭)。「キリストの復活を祝う日」として知られていますが、毎年日付が変わることもあり、日本でもクリスチャンでない人たちにはややなじみにくい行事と言えます。今回はそのイースターの由来と意味、そして欧州での祝い方を紹介します。
イースターの由来
イースターは、十字架にかけられたイエス・キリストが死後3日目によみがえったことを記念する祝日で、キリスト教圏の宗派や国によってはクリスマスよりも重要な祝日と見るところもあります。たしかにキリストの教えはこの復活後に、弟子たちによって爆発的に広がり、ローマの迫害を経て世界宗教へと発展していきました。キリストの復活が意味するものが、その誕生以上に大きいと見られているゆえんです。
イースターは毎年日付が変わる移動祝日で、「春分の日の次の満月の後の最初の日曜日」と定められており、今年はこれが4月1日に当たります。キリスト教圏ではイースター前の40日間を断食期間とする伝統がありますが、これはキリストの苦難をしのんで、ぜいたくや娯楽、自分の好きなものを節制するという意味の断食で、まったく何も食べないで過ごすと言うわけではありません。3月27日にドイツ手工業新聞が報じたところよると、「イースター前に何かを断食することを想定できる」と答えたドイツ人は73%。最も多かったのがアルコール(68%)、その次がお菓子類(59%)、これに肉類(39%)、テレビを見ること(34%)と続いています。ほかにも少数派ですが、この期間に携帯電話やコンピュータを使わない、自動車を運転しない、などの「断食」を実践する人たちもいるそうです。
イースター前の聖週間
イースター前の1週間は聖週間と呼ばれ、イースターまでのカウントダウンを過ごす数日間、それぞれの日に名前と意味があります。
まず、イースター前の木曜日。これは聖木曜日、または洗足木曜日と呼ばれ、イエス・キリストが弟子たちと最後の晩餐を過ごしたことを記念する日です。ローマ・カトリック教会では毎年この日に、ローマ法王が人々の足を洗う儀式が執り行われますが、これはキリストが弟子たちの足を洗った聖書の記述に由来するものです。またこの日はドイツでは「緑の木曜日」と呼ばれており、ハーブの入ったグリーンソースなど緑のものを食べる習慣があります。
そして聖金曜日。この日はキリストが十字架にかけられたことを記念し悼む日で、キリスト教圏では祝日となります。この日は肉を食べない日となっており、その代わりに魚料理を食べる伝統があります。またドイツでは州によって、パーティーやスポーツなどのイベントを禁止する「ダンス禁止法」が存在します。
イースターの祝い方
イースター当日は、ドイツではラム肉料理を食べる家庭が多いそうで、この日のラム肉消費量は年間消費量全体の15%に当たるのだとか。またこの日は子どもたちが、庭や家の中に隠してある卵を探すという習慣があります。これは色塗りをしたゆで卵や、卵の形をしたチョコレートなどで、本来は40日間の断食期間を耐えたごほうびの意味があるのだそうです。ちなみにこの卵は「ウサギが運んできた」ということになっていますが、卵は生命を意味するもの、またウサギは多産であることから復活祭であるイースターのシンボルになったと言われています。ドイツおよびスイスではかつて、地方によってイースターの動物が異なり、ウサギの代わりに羊やコウノトリ、カッコウなどが一般的だったところもあるそうですが、今ではウサギが代表的なシンボルとして定着しています。
欧州では、長い冬が終わり草木や花々が芽吹き出す春の訪れと連動しているイースター。「キリストの復活」は、新しい季節が始まるように新しい時が訪れたことを意味しているとも言われています。
イースター前の時期、お菓子屋さんの店先にはウサギと卵のチョコレートが並ぶ