ニホンライチョウ上野動物園で全滅 今シーズンの繁殖は絶望的

東京動物園協会の4日と6日の発表によると、上野動物園で飼育していたニホンライチョウが4日、5日、6日と一羽ずつ死に、同動物園で飼育していた個体が全滅した。これは、今年から始まった保護増殖事業で採取された卵が6月27日から28日にふ化したヒナ5羽のうち、最後の3羽であった。このため日本国内でのニホンライチョウの飼育は、富山市ファミリーパークでオス3羽のみとなり、今シーズンの繁殖は絶望的となった。

減少が心配されているニホンライチョウの保全に向けて、動物園がライチョウの飼育下での繁殖に取り組んでいく保護増殖事業が5月から進められていた。これはライチョウを繁殖させる技術を確立し、野生復帰させ得る資質を備えた生息域外個体群を形成、維持するとともに、動物園などでの普及啓発を推進するものである。

ライチョウはキジ目ライチョウ科。環境省レッドリスト掲載の絶滅危惧種で、特別天然記念物。体長約37cm、体重400~450g。本州中部高山帯に生息する。羽色は季節によって変化し、夏羽では黒褐色に白斑が混じり、冬には尾羽を除き純白になる。オスには目の上に赤いトサカがあり、春の繁殖期にもっともよく目立つようになる。個体数は1980年代には約3000羽だったのが、2000年代には2000羽弱に減少したと推定されている。

(写真はイメージ)