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史上初の米朝会談実現!シンガポールが果たした役割とは?

史上初の米朝会談実現! シンガポールが果たした役割とは?

12日、史上初の米朝首脳会談がシンガポールで実現した。多くのメディアが、シンガポールが開催国となった理由を論じる中で、当事者であるシンガポールのメディア「ザ・ストレーツ・タイムズ(The Straits Times)」は12日の記事で、今回の会談において、シンガポールが単に開催国としての役割以上のインパクトを北朝鮮に対して与えたことを論じた。

そのインパクトとは、シンガポールが「北朝鮮が世界の中での自身の位置を見る見方を変えるような場所になった」ことであるとしている。
 

「北朝鮮はシンガポールから学ぼうとしている」

会談前夜、金正恩キムジョンウン委員長がシンガポールの代表的な建物や港を観光し、シンガポールの社会的・経済的な発展の様子を見聞したことは、北朝鮮の国営メディアによっても報じられた。金委員長が「将来的に様々な分野において、シンガポールの優れた知識や経験から多くのことを学ぼうとしている」と北朝鮮メディアが伝えたと、「ザ・ストレーツ・タイムズ」の同記事では述べている。

金委員長が学んだであろうものとして挙げられている具体的な要素は、優れた経済力や社会・政治的秩序、小国としての発展の歴史、米国・中国などの大国をはじめとするあらゆる国との友好関係などだ。
 

「平和への長い道のり」への理解

ザ・ストレーツ・タイムズはまた、今回ホスト国となったシンガポール側が、独裁体制と呼ばれる北朝鮮の指導者に対し温かい接待で、敬意を表して迎えたことに対する批判があることにも触れ、これに対して「北朝鮮が国際社会の正規のメンバーになるよう促すことで、世界が得られるものは計り知れない。一方で、北朝鮮をのけ者扱いして、核の火や硫黄の威嚇と軍事行動に戻らせることにより、得られるものは何もない」と断言している。

今回の会談で非核化に向けての取り決めがあいまいだったとする声もある中で、会談翌日13日付の同紙は1面で、「平和への長い道のりへの第1歩(First step on long road to peace)」という希望的かつ肯定的な見出しで同会談を評価した。
 

シンガポールが開催地として選ばれた理由

米朝首脳会談の開催国としてシンガポールが選ばれた理由としては、中立性、施設の充実度、外交行事の開催国としての実績、セキュリティ、北朝鮮からの距離などが挙げられている。ただし実際、北朝鮮が外交関係を有している国は意外に少なくなく162カ国ある(日本外務省ウェブサイトより)。また、シンガポールに北朝鮮大使館はあるが、北朝鮮にシンガポール大使館はなく、隣国マレーシアや、他に開催地候補に挙がったモンゴルやスウェーデンのように、双方に大使館を置いているほどの友好関係にはない。さらにシンガポールは、北朝鮮との関係よりも米国との関係の方がはるかに緊密であるといえる。もちろんシンガポールは従来から中国との関係を重視しており、これが中立性の上での大きな要素となっていることには異論の余地はないだろう。

このように、開催地として選ばれた要因の1つである「中立性」が、米朝双方との関係を見た時に必ずしも均衡ではないシンガポールだが、「ザ・ストレーツ・タイムズ」の記事が述べているように、今後の北朝鮮に与えるインパクトを考えると、やはりどこよりもふさわしい国だったように思われる。

(写真はイメージ)
 

参考記事
南北会談実現!世界はこう見た(1) 対話の扉開いた歴史的瞬間(2018/04/30)
南北会談実現!世界はこう見た(2) 分断の痛み知るドイツとベトナムからの反応(2018/05/01)