沖縄慰霊の日「6月23日」 平和を考える機会に

沖縄慰霊の日「6月23日」 平和を考える機会に

6月23日は「沖縄慰霊の日」。沖縄県でこの日は毎年祝日となっているが、今年はこれが土曜日にあたる。日本では一般に、ヒロシマ・ナガサキと終戦記念日があるため、8月に戦争についてのテレビの特集番組が組まれたり、平和を見つめる機会も多い。しかし沖縄にとって、平和について考える象徴的な月は6月だ。

平和のメッセージを語り継ぐ

今年は、沖縄の平和祈念公園での慰霊の日の追悼式で朗読される「平和の詩」に、「児童・生徒の平和メッセージ」中学校の部で最優秀賞となった相良さがら倫子さん(14歳)の「生きる」が選ばれた。「児童・生徒の平和のメッセージ」は、平和祈念資料館が実施している取り組みで、戦争の経験を風化させないことと、戦争の記憶の次世代への継承を目的としている。詩や作文を創作する過程で子どもたちは、戦争と平和について学び、考える機会を得る。

相良さんの詩では、沖縄の美しい情景や幸せな生活が描かれると同時に、自分が今生きて見ている情景と同じ沖縄の地で、73年前に起きたむごいできごとのイメージが具体的に重ねられる。大好きな島で平和を伝え、これからも命を大切にして生きたいという決心が綴られている。

沖縄戦に限らず戦争を経験した世代の高齢化が進む中、戦争を知らない世代に対して、その酷さと平和や命の価値を語り継ぐことは急務だ。終戦から73年が経ち、学校教育の場以外で、戦争を実際に体験した家族から直接話を聞くことができる機会はわずかとなり、今の若者世代はそれができる最後の世代となった。

今も刻銘が続く「平和のいしじ

沖縄県は5月30日、沖縄県糸満市の平和祈念公園にある平和の礎に、58人の名前を追加刻銘すると発表した。これにより、刻銘者数は24万1525人となった。58人のうち11人は県外出身者。さらに、重複が確認された1人分の名前が削除される。平和の礎には、軍人・民間人、日本人・外国人の区別なく、沖縄戦で亡くなったすべての人の名前が刻まれている。現在も刻銘者の申請を受け付けており、追加刻銘が何度も実施されてきた。今回慰霊の日を前に、追加する名前が刻まれる予定だという。

平和の礎のデザインは、「平和の波、永遠なれ(Everlasting waves of peace)」がテーマになっている。屏風状に置かれた礎は、世界に平和の波が広がることを願ってイメージしたデザインだという。

6月も平和を考える機会に

6月23日には、沖縄県以外でも各地で慰霊の日にちなんだイベントが催される。沖縄県出身者でなければ、意外と知られていない慰霊の日。関連イベントに触れることで、より深く平和について考えるきっかけになるかもしれない。

1945年6月23日は、当時沖縄での戦闘を指揮していた司令官の牛島満(1887~1945年)が自決したことで組織的戦闘が終結した日とされる。総務省の統計によると、一連の戦闘で一般住民を含む20数万人が亡くなったとされ、当時の沖縄県民の2割弱が亡くなったことになる。

(写真はイメージ)

参考記事
「沖縄慰霊の日」 残された深い傷跡(2017/06/23)