母乳は「最初のワクチン」 ユニセフが母乳育児の重要性を呼びかけ
ユニセフ(国連児童基金)とWHO(世界保健機関)は8月1~7日の「世界母乳育児週間」に合わせて、母乳育児についての新しい報告書「瞬間をとらえる(Capture the Moment)」を発表した。
同報告書では、出生後1時間以内に母乳を与えられた新生児は生存する確率が著しく高まることを指摘。母乳育児開始のタイミングが早ければ早いほどよいとしている。母乳は「最初のワクチン」とも呼ばれ、授乳とともに母親と新生児の肌と肌が触れ合うことによって、栄養や抗体の濃度が高い初乳を含む、母親の授乳づくりが刺激されるという。同報告書で引用された研究によると、出生後2~23時間の間に母乳を与えられた新生児は、出生後1時間以内に与えられた新生児と比べ、死亡するリスクが33%高くなり、出生後1日以上後に母乳育児が開始された新生児においては、死亡リスクは2倍にもなることが明らかになっている。
しかし世界で 推定7800万人、約5人に3人の新生児が、出生後1時間以内に母乳を与えられておらず、早期授乳を受けられないことで死亡や病気のリスクにさらされていると同報告書では言及。こうした事態はいわゆる低中所得国で多く見られるという。
76カ国のデータを分析した同報告書によると、新生児が早期授乳の恩恵を得られていない原因としては、出生後の母親への支援不足、新生児が生まれてすぐ母親から離されてしまう場合や、新生児に母乳ではなくハチミツや砂糖水、粉ミルクなどを与えてしまうケースがあることなどが挙げられている。セルビアでは、出生時に母親が受けるケアを改善する取り組みを行うことで、2010年から2014年までの間に母乳育児の早期開始は 43%上昇した。
ユニセフとWHOは、2018年世界母乳育児スコアカード(2018 Global Breastfeeding Scorecard)を発表し、子どもの出生1時間以内、およびそれ以後の母乳育児を助けるための政策やプログラムの推進を促している。
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