オイル生産性の高いスーパー藻類 バイオ燃料生産の実用化に期待
東京工業大学 科学技術創成研究院 科学生命研究所の研究グループは20日、藻類でオイル生産と細胞増殖を両立させることにより、オイル生産を飛躍的に向上した藻類株の育種に成功したと発表した。これにより、藻類によるバイオ燃料生産の実用化が期待される。
微細藻類を用いたオイル生産は、国連が掲げる持続可能な開発目標(SDGs)を達成するために重要な技術と考えられている。しかし、微細藻類がオイルを生産する条件は貧栄養状態が適しており、「オイル生産」と「細胞増殖」は同時にできないと考えられていた。今回の発見は、この課題を根本的に解決したと言え、藻類生産実用化へのブレークスルーになる可能性がある。
東工大の今村壮輔准教授らの研究グループは、オイル生産が野生株と比べて56倍に向上した藻類株の育種に成功した。同グループはオイル生合成に関わる遺伝子GPAT1とGPAT2に注目。GPAT1過剰発現株は「オイル高生産」と「細胞増殖」が両立する株であり、オイル非蓄積条件(栄養充足条件)でもオイル生産量は最大で従来の56倍に増加していることを発見した。
今後はGPAT1の過剰発現によるこの両立がなぜ引き起こされるのかを解明し、さらなるオイル生産の向上を目指す。
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