カワウソブームによる密輸急増に対してWWFが提言
世界自然保護基金(WWF)ジャパンは19日、日本のカワウソブームにともなう密輸急増を受けて、取引実態に関する調査報告書『Otter Alert: 日本に向けたカワウソの違法取引と高まる需要の緊急評価』を公開した。WWFの野生生物取引監視部門であるトラフィックが報告書をまとめた。
2000年から2017年にかけて起きた日本が関係する東南アジアでの押収事例のうち、少なくとも7件・52匹のカワウソが日本を密輸の目的地としており、そのうち17匹はコツメカワウソだった。2017年の3件ではすべて日本人が逮捕されている。日本国内では、確認できただけで12人の販売者が少なくとも85匹を販売しており、広告における価格は80~162万円。5年で約2倍になり、高騰しているとのこと。
違法取引が活発化している背景には、カワウソブームがあるという。インターネットでの検索ワードを分析したところ、「カワウソ」というワードは2012年以降に増加し、とくに2017年以降は顕著に増加。2012年以降は「ペット」、2016年以降は「価格」、2017年以降は「カフェ」、「選挙」がカワウソというワードとともに検索された。カワウソを飼いやすいと誤解させるテレビ番組や、カワウソカフェ、飼育者によるSNS投稿が大きく需要を拡大させたと思われる。
現状ではコツメカワウソを違法取引から保護する法的手段がないため、トラフィックは政府に対して、国内法で保護されていない種の国内取引を規制する新たな法制度を検討し、有効なシステムを構築することを提言した。またメディアに対して、マスメディアやSNSプラットフォームは絶滅危惧種に関する情報発信が及ぼす影響について自ら評価し、自主的に規制する方針を策定することを提言した。
画像提供:WWFジャパン
参考記事
カワウソのペットブームで違法取引が深刻に WWFが警告(2018/06/24)