AIの音声解析で絶滅危惧種の生息調査 富士通がシステム開発
富士通は10月31日、人工知能(AI)を使って生物の鳴き声を検出する技術で2018年日経地球環境技術賞の優秀賞を受賞した。従来、絶滅危惧種の生息調査は人の目と耳の感覚頼みだったが、録音データを解析すれば高精度に検出できるようになった。さまざまな生物への応用が期待される。
受賞した技術は同社と富士通九州ネットワークテクノロジーズが開発した「音声情報を活用した生物の生息調査システム」。絶滅危惧種の生息調査を支援するために開発されたもので、録音データを元にAIを活用して、調査対象種の鳴き声を高精度に検出することができる。
絶滅危惧種の生息状況の確認は、従来は調査員が現地に入って目視や鳴き声を直接聞くことで行っていたが、調査員の負担が大きく広範囲の調査は困難だった。そこで調査対象域の環境音を録音したデータを、AIによって解析して調査対象種の鳴き声を自動で検出するソフトウェアを開発した。
このソフトウェアを絶滅危惧種であるシマフクロウの生息域調査へ適用したところ、調査効率化と検出精度向上を実現し、調査地域の拡大に貢献している。他の生物への対応も進めており、鳴き声を手掛かりとする鳥類・猛禽類・両生類・海洋生物といった、生物全般の生息調査への展開が可能だという。
日経地球環境技術賞は、地球環境の持続可能性を確立するための技術開発・研究・調査について、独自性・将来性・実現性を総合的に判断し表彰するもので、今年で28回目となる。
画像提供:富士通(冒頭の写真はイメージ)
参考記事
AIで野鳥の鳴き声を認識 富士通が製品化(2017/12/28)