宇宙飛行士の月面派遣、再使用可能なシステム開発へ NASA
米航空宇宙局(NASA)は14日、2028年に宇宙飛行士を月面に派遣することを目標に、2024年から月面上で新しい着陸船をテストする計画を発表した。
トランプ米大統領が2017年12月に署名した宇宙政策指令第1号のもと、NASAは昨年12月13日、宇宙飛行士を月に送るための大きなステップとして、アメリカの企業と協力して宇宙飛行士が月面に着陸するための新しい再使用可能なシステムを設計し、開発する計画を発表。パートナーシップを組んでいる企業に、月面に着陸する宇宙飛行士への最善のアプローチを研究し、現在および将来予想される技術を用いてできるだけ早く開発を開始するよう求めている。
NASAのジム・ブライデンスタイン長官は、「まずは地球の低軌道でモデルを構築し、その次は月探査や火星のようなもっと遠い目的地へとミッションを進めるために産業界や他の国々にパートナーシップを拡大していく。今後10年間で宇宙飛行士を月面に送ることに成功したら、この方法が持続的に使えるものになるだろう」と述べた。
再利用可能な月着陸船の実現に向けて
人間を月に送るためのNASAの主要なアプローチは、移動、着陸、そして安全な帰還を提供する3つの別々のシステムを使う。このアプローチにおいて重要なのは、月面への往復の旅程に月周回軌道上に建設する「ゲートウェイ」の使用であり、これによって完全に再利用可能な月着陸船が実現する。移動と着陸のシステムには、地球からゲートウェイまで燃料を運ぶ貨物便が繰り返し燃料補給できると期待される。
さらに月の氷と月の砂(レゴリス)を使ってロケットの推進薬を作る技術開発にも取り組んでいる。月の資源を利用した推進力が実現したのち、月の資源によるシステムへの燃料補給を目指す。このプロセスは、現場での資源利用(In-Situ Resource Utilization、ISRU)として知られており、3つ目の帰還システムについても再利用可能になる。
また、NASAは2月7日に2回目の次期宇宙探査技術パートナーシップ(NextSTEP-2)調達(BAA)の付録に対する提案の公募を正式に開始した。公募の締め切りは3月25日。調達により技術要件の推進、適用基準の調整、技術の開発、月面着陸による初期の実証のための重要な研究とリスク低減活動を支援し、宇宙飛行士のために造られる月着陸船の業界主導の開発と飛行のデモに資金を供給する。
画像提供:NASA