初夏の味 会津の「アスパラガス」は今が旬
鶴ヶ城や猪苗代湖で有名な会津地方。そんな歴史のある会津地方がアスパラガスの産地ということはご存じだろうか。アスパラガスといえば北海道や長野県が一大産地。しかし福島県も作付面積では全国4位、収穫量では8位と、トップクラスに入るほどの生産地となっている(2017年度統計)。中でも会津地方は、福島県産アスパラガスの95%以上を生産。肥沃な大地と豊富な水を備え、昼夜の温度差が農業に適した会津地方で育ったアスパラガスは今、まさに旬の時期を迎えている。
アスパラガスは、日本では夏が旬
ヨーロッパでは長い冬が終わり、春の到来とともに店頭に並ぶアスパラガス。春の代名詞としてホワイトアスパラガスが食べられることが多いが、日本ではグリーンアスパラガスが主流で、露地栽培の新鮮なアスパラガスが食べられるのは初夏だけ。日本でアスパラの生産が始まったのは1922年。北海道岩内町の農家で化学肥料の指導にあたっていた下田喜久三博士が、冷害に耐えうる作物としてたどり着いたのがアスパラガスだった。当時、岩内町の砂丘地40万町歩に植え付けられたのが日本のアスパラガス栽培の始まりとなり、全国に広がっていった。
地域で生産を推進 オリジナル商品開発でPR
会津地区では、ホワイトアスパラガス栽培がきっかけで、稲作からの転作品目として露地のグリーンアスパラガス栽培が増加したと言われている。現在は700人以上の生産者がいるが、栽培機運は高まっており、栽培マニュアルの作成やセミナー開催などの取り組みが盛んだ。福島県会津農林事務所ではアスパラガス推進チームを立ち上げ、会津地区全体の病害虫などの問題解決や品質向上、PR商品開発などに取り組んでいる。
そんな会津地区の食材の魅力を消費者に伝え、旬の時期に味わってもらおうと、会津地方では今、「あいづ 食の陣 会津アスパラガス」を開催している。4月1日から6月30日までの3か月間は、特にアスパラガスのPRに力を入れている。この期間中は会津若松市内の飲食店や宿泊施設の料理人が、和食、洋食、中華、さらにはどらやきまで、会津産アスパラを使った料理を提供している。
西若松駅から歩いて10分ほどの「鶯宿亭」では、そばの上に素揚げのアスパラを大胆に載せた「揚げアスパラのぶっかけそば」を提供。素揚げしただけのアスパラは、素材そのままのおいしさを味わうことができる。また毎日朝に手打ちしているというそばもこしがあり美味。冷たい醤油出汁で大根おろしとさっぱり食べられる、夏においしい一品。
上級食育アドバイザーが店長をしているパン屋「會・マチエール」では、くるみがふんだんに使われた「アスパラガスとしょうゆ麹のクルミパン」を販売。しょうゆ麹を使用しており、食べる前にふわっと麹の香りが漂ってくる。喜多方から仕入れたアスパラはジューシーで薄味のパン生地になじんで素朴な味わいになっている。くるみが多めで健康的なパン。
このほかにも会津地方の元祖カツ丼とアスパラガスを組み合わせてみたり、ラーメンの具にしたりと、町をあげてアスパラガスをPRしている。50年以上の歴史のあるアスパラガス生産地である、会津。旬の食材を味わいに出かけてみてはいかがだろうか。