2015年ノーベル物理学賞に梶田隆章さん

スウェーデン王立科学アカデミーは6日、今年のノーベル物理学賞を梶田隆章さん(東京大学宇宙線研究所長)と、アーサー・B・マクドナルドさん(カナダ、サドベリー・ニュートリノ観測所長)に贈ると発表した。受賞理由は「ニュートリノが質量を持つことを示す、ニュートリノ振動の発見」。

梶田さんは、東大大学院時代に小柴昌俊さん(東京大学特別栄誉教授、2002年ノーベル物理学賞を受賞)に師事。1986年から、故・戸塚洋二さん(元東京大学宇宙線研究所長)のもと、岐阜県飛騨市にある旧神岡鉱山に置かれた観測装置「カミオカンデ」で、宇宙線が地球の大気にぶつかって生じる素粒子「ニュートリノ」を観測。ニュートリノは三つの型があるが、ニュートリノの一つの型が予想の約60%しか観測されないことを1988年に発見。1996年からはカミオカンデを高性能化した「スーパーカミオカンデ」で観測を続け、一つの型のニュートリノが長距離を飛ぶうちに約半分に減ったのは、途中で別の型に変わる「ニュートリノ振動」を起こしたためで、これがニュートリノに質量があることを示すと1998年6月の国際会議に世界で初めて発表した。それまで「ニュートリノには質量がない」と仮定していた素粒子の標準理論に修正を迫る歴史的な発見となった。

共同受賞者のマクドナルドさんは2001年、サドベリー・ニュートリノ観測所で太陽から飛んでくるニュートリノでも「振動」があることを発見。故・戸塚さんと共に2007年に「3種類のニュートリノと呼ばれる素粒子が長距離を走る際に相互に転換すること、およびニュートリノに質量があることを発見」したとして、ベンジャミン・フランクリンメダルを受賞している。

画像提供:東京大学