考えただけで、他人に伝達するBBI実験に成功
「脳から脳へのインターフェース(BBI)」を使い、質疑応答によって他人の心にあるものを推測できることが初めて実証された。米ワシントン大学のアンドレア・ストッコ助教らの成果で、米科学誌『プロスワン』で9月23日に掲載された。
このBBIは頭に被せるタイプの脳波計(EEG)で、回答者の脳波から脳活動の特定パターンを検出してインターネット経由で信号を送信し、経頭蓋磁気刺激法(TMS)と呼ばれる方法で質問者の後頭部に付けた8の字型の磁気コイルで脳を刺激する。後頭部に磁気刺激を受けると、脳の後頭葉視覚処理領域が刺激を受け、線や点の形で「眼内閃光」の知覚が生じることが知られている。
回答者は最初に、例えば動物というカテゴリーから「犬」を考える。質問者は、コンピューターの画面に表示される「空を飛びますか?」「ペットですか?」「しっぽはありますか?」といったリストから質問を1つ選択する。物理的には約1マイルに離れた場所にいる回答者にインターネット経由で質問が送られ、回答者は「はい」と書かれたLED点滅か「いいえ」と書かれたLED点滅のどちらかに意識を向ける。すると、BBIが回答者の脳信号から直接回答を判別し、「はい」の場合には質問者の脳を磁気刺激する。
10名の被験者(5組の質問者・回答者のペア)に対して20回実験が行われ、そのうちランダムに10回は被験者にわからないように磁気刺激を止めて行われた。実験の正解率は、磁気刺激を止めた場合には18%だったが、BBIを用いた場合は72%で、統計的に有意に大きいことが示された。
画像提供:Public Library of Science(“PLOS”)