歴史資料ネットワーク、台風19号による被災歴史資料の保全を呼びかけ
歴史や郷土史の研究者有志による歴史資料ネットワーク(事務局・神戸大学大学院人文学研究科地域連携センター内)は14日、ウェブサイト上で台風19号被災地の住民やボランティアに対し、被災した歴史資料の保全を呼びかけた。
同ネットワークによると、災害復旧の過程で被災した建物から出てくる古文書など、一見してゴミのように見えるものの中に地域の歴史を記録したかけがえのない財産があるため、安易に処分してはいけないとのこと。泥水で汚れた紙の資料は、カビが生えるなど劣化してしまうこともあるが、適切な処置で修復も可能だという。
また同ネットワークは歴史資料について、県や市町村による指定文化財だけを指すのではなく、地域や家族・個人の経緯を示すものも貴重な資料であるとしている。例えば古文書や、明治・大正・昭和期の古い本・ノート・手紙・日記・新聞・写真、さらに古文書が下張りに使われている可能性がある古いふすまや屏風、自治会などの団体の記録、農具や古い着物など生活に関わるものにまで至るという。
ウェブサイトでは資料保全の応急処置についてもまとめてあるが、困ったときは近くの教育委員会や各地の史料ネットに相談するように勧めている。
歴史資料ネットワークは歴史研究者を中心としたボランティア団体で、1995年に発生した阪神・淡路大震災の被災地で、歴史資料をはじめとした文化遺産の保全に尽力してきた。また関西だけでなく、日本各地での史料ネットの立ち上げも支援してきた実績がある。
(写真はイメージ)