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地球史上最大の生物絶滅の原因は「宇宙の塵」だった 2.5億年前の謎に光

地球史上最大の生物絶滅の原因は「宇宙の塵」か 2.5億年前の謎に光

東京大学や九州大学などの研究チームは、約2億5000万年前に起こった地球史上最大規模の生命絶滅について、当時の地層から採取した試料に含まれるヘリウムの同位体の比を分析。この結果、宇宙からの大量のちりが原因であることを示唆する結果が得られたと発表した。
 

巨大隕石の衝突が起因した恐竜の絶滅

これまでの地球の歴史で地球表層での大きな環境変動による生物の大量絶滅は複数回起こっている。これらの環境変動は地層の境界面に現れているとされる。

最もよく知られているのは、恐竜が絶滅したとされる約6600万年前の白亜紀と古代三紀の境界層(K/Pg境界)で、地球表層にはまれなイリジウムなどの白金族元素の凝集が発見されていることから、巨大隕石の衝突による大規模な環境変化により大量絶滅が起こったとされている。一方、史上最大規模の絶滅が起きた約2億5000万年前のペルム紀と三畳紀の境界(P/T境界)では、恐竜が絶滅した時のようなイリジウムの濃集が検出されておらず、そのためこれまでは大規模な火山活動による環境変動が絶滅の原因と考えられていた。

2001年には地球外物質の流入を示唆するデータが報告されたため、他のチームも再現実験を試みたが、地球外物質による環境変動だとは実証できていなかった。これに対し2014年に提示された新たな仮説では、超新星爆発が引き金となって暗黒星雲と太陽系とが遭遇し、それによって大量の宇宙線と宇宙塵(宇宙空間に点在する微粒物質)が流入したことで地球寒冷化が引き起され、大量絶滅が起こったとされている。同研究チームは今回、この仮説に着目して検証を試みた。
 

生物大絶滅の原因は「宇宙の塵」という新仮説

同研究チームは、岐阜県舟伏山地域において、深海底で堆積してできたとみられる堆積岩の地層の中から、約2億5000万年前に起こった大きな環境変動であるペルム紀と三畳紀の境界(P/T境界)層を採取した試料について、3He/4He比やイリジウムを分析した。その結果、層の境界からおよそ1.5m下までの区間(約50万年の区間)において、最も高いものでは3He/4He比で61~150Ra(*)という高い同位体比が得られ、地球外物質の証拠である50Ra以上のヘリウムを発見した。また、得られた同位体比は、この約50万年間より前の静穏期に比べて最大で約5倍高くなっていることが分かり、イリジウムについても境界層で3He濃度と同じ傾向の濃度分布が見られた。

これらの結果から、約2億5000万年前に起こった生物の絶滅は、地球外からもたらされた宇宙の塵によって引き起こされたという新しい仮説を裏付けするデータが得られたという。

*Raとは、地球の大気におけるヘリウム同位体比、3He/4He=1.4×10-6を基準とした単位。

地球史上最大の生物絶滅の原因は「宇宙の塵」だった 2.5億年前の謎に光
岐阜県舟伏山地域のP/T境界試料採取場所の露頭写真

地球史上最大の生物絶滅の原因は「宇宙の塵」だった 2.5億年前の謎に光
地層境界におけるヘリウムとイリジウムの濃度分布

画像提供:東京大学(冒頭の写真はイメージ)