「チバニアン」GSSP認定に向けて審査が最終段階へ

「チバニアン」GSSP認定に向けて審査が最終段階へ

国立極地研究所、茨城大学などの研究グループは29日、千葉県市原市の地層「千葉セクション」を、国際境界模式層断面とポイント(GSSP)とする申請が、審査の第3ステップである国際層序委員会(ICS)の審査を通過したと発表した。これで残る審査は1ステップのみとなり、最終段階の国際地質科学連合(IUGS)での審査で認められれば、千葉セクションはGSSPとなり、前期‐中期更新世境界の地質時代の名称が「チバニアン」と名付けられることになる。

GSSPとは、それぞれの地質時代の境界を地球上で最もよく示す地層のこと。現在、世界に72カ所あるが、日本にはまだない。千葉セクションは千葉県市原市田淵の養老川岸などの地層で、約77万4000年~約12万9000年前のもの。更新世の前期と中期の境界にあたり、その時代の特徴である地球磁気の逆転現象が克明に記録されている。

研究チームは2017年6月、地質時代の前期‐中期更新世境界のGSSPに申請し、同年11月に第1ステップの審査、続いて2018年11月に第2ステップの審査を通過していた。今後はIUGSの投票で60%以上の得票があれば、「千葉セクション」が前期‐中期更新世境界を示すGSSPとなる。申請チームは千葉セクションが最終的にGSSPとして認定された場合、この地質時代の名称として「チバニアン」(「千葉時代」の意)を提案する予定。

千葉セクションが日本初のGSSPになり、地質時代の名称が日本の地名に由来したものになれば、地質学会だけでなく、日本の科学史においても大きな出来事になる。地質学の普及や小・中・高校などでの教育においても大きな波及効果が期待される。

(写真はイメージ)

「チバニアン」命名に向けて一歩前進 妨害を乗り越え第3次審査へ