ドイツ クリスマスマーケットめぐり2019(2)クリスマスのふるさとザクセンを訪ねる
ドイツの冬の風物詩、クリスマスマーケット。クリスマスまでの4回の日曜日を過ごすアドベント(待降節)と呼ばれる時期に各地で繰り広げられる一大イベントが今年も開かれました。
旧東ドイツのザクセン州では、ドイツのクリスマス文化の歴史と伝統を感じさせるすてきなクリスマスマーケットに出会えます。
(1) ドレスデン
1434年からの歴史を持つ、ドイツ最古の一つともいわれるドレスデンのクリスマスマーケット。
クリスマスの伝統菓子シュトレンや、くるみ割り人形などエルツ山地のクリスマス工芸品は、ドレスデンを首都とするザクセン州が発祥です。ドレスデンはいわば、そんなクリスマス文化のご本家。伝統色と郷土色、地元民のクリスマスマーケットにかける熱量は、他都市より強めです。
このクリスマスマーケット期間中に開催されるシュトレン祭りもドレスデンの名物。今年も12月7日に、4トン近いシュトレンを載せた山車が市街を練り歩き、最後はシュトレンが切り分けられて、集まった観客にふるまわれました。
クリスマスマーケットでも、シュトレンを焼く実演が見られる工房や、子どもたちがクッキーの型抜きをして焼いたお菓子を持ち帰ることができるアトラクションも……。
熱量も半端ないですが、カロリーも半端ないです。
https://striezelmarkt.dresden.de/de/
(2) ケムニッツ
クリスマスの伝統工芸品の名産地、エルツ山地の入り口に位置するのがケムニッツ。旧東ドイツ時代は「カール・マルクス・シュタット」という名前で知られた町で、今でもマルクスの大きな頭部像が中心部には残っています。
そんな社会主義的風景が色濃く残る一方で、ケムニッツのクリスマスマーケットはポップで明るい雰囲気にあふれています。等身大のくるみ割り人形や、色とりどりの木工細工、エルツ山地のシンボル「鉱夫と天使」のモチーフなどがいたるところに見られ、まるでクリスマスの子ども部屋のような楽しさです。屋台の食事も、ハンガリー風グラシュやザウアークラウトのスープなど、寒い季節にうれしい家庭料理風のものが目立ちます。
家族で過ごすクリスマスの素朴さと温かさを感じさせるクリスマスマーケットです。
https://www.chemnitz.de/chemnitz/de/kultur/hoehepunkte/weihnachtsmarkt/index.html
(3) ゲルリッツ
エルツ山地から少し離れた、ポーランド国境の町ゲルリッツ。シュレージエンと呼ばれる地域の中でも裕福な町として知られたゲルリッツは奇跡的に戦禍を免れて、今も19世紀当時の美しい街並みを残しています。この街並みは、映画のロケ地としてもしばしば使われています。そして夕闇の中にクリスマスマーケットの明かりがともると、この町の美しさはさらに際立ちます。
各都市のクリスマスマーケットにそれぞれの見どころがありますが、ゲルリッツの見どころは何よりも、この美しい街並みと古き良き雰囲気ただようクリスマスマーケットの一体感。19世紀のヨーロッパに、タイムスリップしたかのような気分が味わえます。