ニュースのキーワードで振り返る2019年
元号が平成から令和に改まった2019年。NEWS SALTで取り上げたニュースの中から2019年を象徴するできごとを、キーワードとともに振り返ります。
目次
1月 #MeToo
平成最後の2018(平成30)年の流行語大賞に選ばれた「#MeToo」。NEWS SALTでは1月6日まで5回にわたり、セクハラは人権問題であるという特集を組みました。
12月には、ジャーナリストの伊藤詩織さんが元TBS記者の山口敬之氏に対し、「合意のない性行為をされた」と訴えた民事訴訟で勝訴。日本の#MeTooムーブメントの象徴的なできごとともいえるこの事件をめぐって、世の中の認識が大きく動いた1年でした。
2月 自動運転/EV
世界全体で進む自動運転および電気自動車の開発。日本でも各地でさまざまな実証実験が試みられました。消費者や民間企業だけでなく、自治体が参入するビジネスモデルも登場。自動車というテクノロジーに、新たな時代の訪れを感じさせました。
3月 カルロス・ゴーン氏保釈
日産CEOだったカルロス・ゴーン氏が、不正疑惑により異例ともいえる長期間勾留をされていましたが、弁護人の交代により急転直下、3月6日に保釈が実現しました。
2度にわたる保釈請求の却下から、日本の「人質司法」が国際世論の批判を浴び、それを受けての裁判所の判断となりました。
4月 東大入学式祝辞
東京大学の入学式で、同大名誉教授の上野千鶴子氏が述べた祝辞が話題に。
「がんばってもそれが公正に報われない社会があなたたちを待っています」と述べた上で、「あなたたちのがんばりを、どうぞ自分が勝ち抜くためだけに使わないでください」「恵まれた環境と恵まれた能力とを(中略)恵まれないひとびとを助けるために使ってください」と強調しました。
5月 令和
天皇が代替わりし、元号が平成から令和に。万葉集から引用された新元号「令和」は、「厳しい寒さの後に春の訪れを告げる梅の花のように、明日への希望をもって花を咲かせる日本でありたい」との願いが込められているといいます。
令和は、対外的には「美しいハーモニー」と訳されました。
6月 元農水省事務次官の息子殺害事件
6月1日、東京都内で元農水省官僚だった76歳の父親が、引きこもりで家庭内暴力をふるっていた44歳の息子を殺害するという事件が起こりました。
被害者が死亡しているため事件の全貌が見えにくい中で、被疑者である父親に対して同情的な世論が高まり、少し前に起こった川崎の無差別殺人事件との連鎖も指摘されました。
これ以外にも、引きこもりおよび引きこもり支援をめぐるさまざまな問題がクローズアップされた1年でした。
7月 リカバリーカルチャー
元プロ野球選手の清原和博氏が、薬物依存症からの回復について語り始めるなど、日本でもリカバリー(依存症からの回復者)という概念が少しずつ知られるようになってきました。
人はなぜ依存症になるのか? そしてそこから立ち直るにはどのようなプロセスを歩むものなのか?――アルコール依存症専門医に解説いただきました。
11月6日には、依存症者のための回復支援活動に取り組んでいたタレントの田代まさしさんが覚せい剤不法所持で逮捕され、改めてリカバリーの困難さを世間に印象付けました。
8月 脱プラスチック
世界的に、海洋プラスチックごみ問題をめぐって「脱プラスチック」の機運が高まる中、日本でも大手企業がプラスチックから紙パッケージへの変更や、プラスチック製ショッピングバッグの有料化など、脱プラを打ち出し始めました。
9月 ハビタブルゾーン
惑星表面で液体の水が存在可能な温度となる領域、ハビタブルゾーン。この領域の太陽系外惑星の大気中から、初めて水蒸気が確認されたとの論文が、英科学誌に発表されました。
しかし実際には、地球と同様の生命体が生息できる環境には程遠く、「第二の地球」とは言えないものだそうです。
10月 16歳の環境活動家・グレタ
9月23日にニューヨークで開催された国連気候行動サミットで、スウェーデンの16歳の環境活動家、グレタ・トゥーンベリさんのスピーチが世界中の注目を集めました。グレタさんは、たったひとりで始めた気候変動ストライキが世界中の若者の共感を集めて広がり、米タイム誌の2019年「今年の人」に選ばれました。
11月 ベルリンの壁崩壊30周年
平成元年の1989年は、ベルリンの壁が崩壊した年でもありました。第2次大戦後、東西に分断されたドイツ、そして冷戦時代の象徴とも言われたベルリンの壁。その崩壊後の30年は、ちょうど平成の30年に重なります。世界が目まぐるしく変化を遂げた30年を経て、また新たな年が始まろうとしています。
12月 ステマ
ツイッターやインスタグラム、フェイスブックなどのSNSを通じて、だれもが手軽に情報発信できる時代、その中に潜むステマ(ステルスマーケティング)の存在が問題視されています。ステマとは、消費者に対して広告だということを隠して行う広告・マーケティング活動のこと。いわゆる「やらせ」や「サクラ」のことです。
SNSが大きな伝播力を持つ時代、使いこなす上でのモラルやコンプライアンスが問われています。
(写真はイメージ)