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「チバニアン」GSSP認定に向けて審査が最終段階へ

「チバニアン」が正式認定 日本の地名に由来した地質時代の名称が誕生

国立極地研究所、茨城大学などの研究グループは17日、千葉県市原市の地層「千葉セクション」を「国際境界模式層断面とポイント」(GSSP)とする申請が、最終ステップである国際地質科学連合(IUGS)の審査を通過したと発表した。その結果、千葉セクションはGSSPとなり、約77万4千年前~約12万9千年前の前期‐中期更新世境界の地質時代の名称が「チバニアン」(「千葉時代」の意)と名付けられることとなった。

GSSPとは、それぞれの地質時代の境界を地球上で最もよく示す地層のことで、今回の認定により世界で74カ所となった。千葉セクションは千葉県市原市田淵の養老川岸などの地層。更新世の前期と中期の境界にあたり、その時代の特徴である地球磁気の逆転現象が克明に記録されている。

同研究グループは2017年6月、千葉セクションを地質時代の前期―中期更新世境界のGSSPに申請し、同年11月に第1ステップ、2018年11月に第2ステップ、2019年11月に第3ステップの審査を通過。17日午前に韓国釜山において開催されたIUGSの理事会での審議と投票によって承認された。

認定に至るまでには、審査中に反対する研究者の男性が地層周辺の土地で賃借権を取得し、申請に必須な「自由な立ち入りの証明」ができず手続きを進められなくなることもあった。この事態に対し市原市は研究者が自由に立ち入れる条例を制定して研究グループを支援した。

千葉セクションが日本初のGSSPと認定されて、日本の地名に由来した地質時代の名称が誕生したことは、地質学だけでなく日本の科学史においても大きな出来事である。地質学の普及や小・中・高校などでの教育においても大きな波及効果が期待される。

同研究グループ代表の茨城大学理学部の岡田誠教授は「チバニアンが承認され、初めて日本の地名が地球史に刻まれることに感極まります。応援して下さった全ての方々に深く感謝申し上げます」とコメントした。

(写真はイメージ)
 

「チバニアン」GSSP認定に向けて審査が最終段階へ