象のように鼻が長いゾウギンザメ、日本初ふ化 サンシャイン水族館
サンシャイン水族館は1月30日、日本で初めてとなるゾウギンザメのふ化が確認できたと発表した。ゾウギンザメは日本での展示数が少なく、現在展示を行っているのは2館のみ。今回のふ化は日本で初めてのこと。
同館のメスのゾウギンザメの1個体が2019年5月以降、合計18個の卵を産んだ。胚発生・心拍の有無を調べるため5日に1回のペースでエコー検査を実施しながら経過を見守ってきた。ふ化があったのは1月27日と28日でそれぞれ1個体ずつ。30日時点でそのほかに3個の卵を飼育している。
ゾウギンザメはギンザメ目 ゾウギンザメ科。一般的なサイズは70cmほど、ふ化時の稚魚のサイズは15cmほど。特徴的な尖った長い口先がゾウの長い鼻のようにみえることからこのように名づけられた。これは「ロレンチーニ器官」と呼ばれ、生き物が発する微弱な電場や磁場を感知することができ、海底の砂の中にいる餌となる甲殻類や貝類を探すのに適している。生息地域は南オーストラリアおよびニュージーランドの大西洋南西で、普段は水深200m付近の大陸棚・砂泥底環境に生息している。
2014年のワシントン大学医学部の研究で、ゾウギンザメのDNAを解析し他の脊椎動物ゲノムとの比較をしたところ、ゾウギンザメのゲノムの進化速度が既知の脊椎動物の中でも極めて遅いことが判明した。4億年近く姿を変えていないとされるシーラカンスよりも進化速度が遅いとみなされる。ゲノムから骨の形成過程についても知見を得られており、人間の骨粗しょう症の治療に役立つと期待されている。同館では今後もふ化個体の成長を通して、ゾウギンザメの生態研究やさらなる繁殖に力を入れ、生息域外における保全に努めていくとしている。
稚魚は現在バックヤードで飼育しているため、観覧不可。展示については追って水族館公式サイトで告知するという。
画像提供:サンシャイン水族館