今年はトキ5羽が無事育つ 多摩動物公園

トキのヒナ4羽が成長 多摩動物公園

トキの保護増殖事業に取り組む多摩動物公園(東京都日野市)は21日、飼育中のトキのヒナ4羽が無事に育っていると発表した。

同園で飼育しているトキは4ペア。そのうちの1ペアから3羽、他の1ペアから1羽のヒナが育っている。4羽とも産卵後、卵を取り上げてふ卵器でふ化させた後に数日から1週間は人の手で育て、その後で巣に戻した。

同園の野生生物保全センターでは2007年からトキ飼育に取り組み、毎年繁殖に成功している。これは環境省が進めるトキ保護増殖事業の一環。佐渡トキ保護センターから預かったトキを非公開で飼育している。単独の施設で飼育すると感染症が発生したときに全滅してしまう恐れがあるため、複数の施設に分散させている。同園で飼育するトキは12羽となった。

トキはペリカン目トキ科。環境省レッドリストで絶滅危惧IA類(CR)に属し、国の特別記念物で国際保護鳥とされている。野生のトキは20世紀初頭まで東アジア一帯に広く分布し、決して珍しい鳥ではなかった。日本でも江戸時代には北海道から九州までほぼ全国に生息していた。しかし乱獲と生息環境の悪化により、東アジア一帯で減少が進み中国を除き一旦絶滅した。その後、保護活動や野生復帰の取り組みにより、現在は中国陝西せんせい省の洋県と寧陝ねいせん県付近、日本では新潟県佐渡付近のみ、野生のトキが生息している。

(写真はイメージ)
 

参考記事

トキが「野生絶滅」の指定外れる 環境省レッドリスト2019