今夏注目 復活した「ドライブインシアター」が全国で開催
3密を避けた安心・安全なレジャーの一つとして、ドライブインシアターが再び注目を集め、今年、日本の各地で行われている。
ドライブインシアターとは、広い公園や駐車場などに大きなスクリーンを配置し、車内のカーステレオのFMラジオを通じて音声を提供することで、車に乗ったまま映画が鑑賞できる映画上映施設のこと。1930年代にアメリカで始まり、1950年代に流行し、欧州などに広がった。日本でも1960年代に取り入れられるも、その後はレンタルビデオの登場などで下火になった。それが今年、新型コロナの感染拡大に際し、各国で不特定多数が集まる映画館の上映制限が出されたところ、他者と接触することなく、ソーシャルディスタンスを保って映画鑑賞を楽しめることから、再び注目されるようになった。
日本では2014年秋にハッチが運営するシアタープロデュースチーム「Do it Theater」が「ドライブインシアター 浜松」で、ドライブインシアターをイベントとして復活させた。「Do it Theater」は、ドライブインシアターの実現を目指す「ドライブインシアター2020」プロジェクトを今春から開始。新型コロナウイルス感染予防の啓発と映画をはじめとするカルチャーの活性化を目的として、東京タワー、大磯ロングビーチ、大阪 万博記念公園などでドライブインシアターを開催した。8月7日〜9日に大阪 万博記念公園で開催したドライブインシアターでは、チケットは完売し、3日間で約1000名の来場者が450台の車で会場に訪れ、夏の夜の映画イベントを楽しんだ。
同プロジェクトはこれまで以下の3つを掲げて活動してきた。
1. 新しいエンターテインメントシステムの提案によりカルチャーの活性化につなげる
2. 新型コロナウイルス感染予防の知識やソーシャルディスタンスの重要性の意識を高める啓発キャンペーンの1つである
3. 寄付を通じて新型コロナウイルス対策活動およびエンタメ業界の支援につなげる
また同プロジェクトが2020年4月10日〜8月7日までの120日間展開したクラウドファンディング(現在は終了)では、総額573万7826円、880名からの支援が集まった。このうち、123万2320円をミニシアター支援を行うクラウドファンディング「ミニシアター・エイド基金」と、世界保健機関(WHO)および国連財団による「COVID-19連帯対応基金」への寄付として活用し、その他は「ドライブインシアター2020」プロジェクトの中長期的な継続に活用するという。
Do it Theater 代表の伊藤大地氏は「全国各地でドライブインシアターが生まれてきており、改めて文化として根づき始めていることを実感じている。今後も日本各地へ広げていきたい」とコメントした。
写真提供:ハッチ