JR東日本のBRT専用大型自動運転バス 気仙沼線で自動運転の走行試験
東日本旅客鉄道(以下、JR東日本)は15日、BRT(バス高速輸送システム)専用大型自動運転バスを製作したと発表した。このバスを用いて自動運転レベル3認証取得を目指して、気仙沼線BRT 柳津~陸前横山間において走行試験を実施していく予定。
「BRT」とは、バス高速輸送システム(Bus Rapid Transit)の略で、連節バス、PTPS(公共車両優先システム)、バス専用道、バスレーンなどを組み合わせることで、速達性・定時性の確保や輸送能力の増大が可能となる高次の機能を備えたバスシステムのこと。
気仙沼線 柳津・気仙沼間は東日本大震災において甚大な被害を受け、2012年8月からBRTによる仮復旧を行っている。線路敷を活用してBRTとしての専用道を整備、気仙沼駅と盛駅では鉄道とBRTバスが同じホームに乗り入れて段差を極力なくして乗り換えが便利になるようにしている。また、震災前の鉄道運行時に比べて1.5~3倍の運行本数を確保している。
今回製作されたバスは、現在BRTで使用している大型ハイブリッドバスを改造したもの。専用道で自車位置を特定するための磁気センサーシステムなどを車底部に備える他に、屋根上に測位衛星の電波を取得するためのGNSSアンテナを搭載。さらに自動運転中に周囲360度の障害物などの検知ができるようにLiDAR(Light Detection and Ranging)センサー、ミリ波センサーおよび各種カメラを搭載した。
自動運転レベル3では、一定の条件の下でシステムが周辺の交通状況を監視するとともに運転操作を代行する。システムが使用可能な条件から外れる場合は警報を発して、直ちにドライバーに運転交代をすることが求められる。自動運転レベル3を認証取得するために、いつでも手動運転モードに切り替えられるようにドライバーの状態をモニターする機能や引継ぎ要求機能なども搭載する。
走行試験は2020年度内は1月18日から3月15日に気仙沼線BRT 柳津~陸前横山間において、トンネル内走行や車線維持制御等の走行試験を実施する。2021年夏には地域住民を対象とした試乗会を予定している。
BRTはJR東日本では、気仙沼線と同じく東日本大震災で被災した大船渡線BRTがある。茨城交通のひたちBRTは日立電鉄線の廃線跡を利用して、自動運転バスの実証実験が2020年12月5日より行われている(現在は一時停止中)。西日本旅客鉄道はソフトバンクと共同で、異なる自動運転車両が隊列走行する「自動運転・隊列走行BRT」の開発に取り組み、滋賀県野洲市のテストコースで2021年度以降に実証実験を行う予定。
画像提供:JR東日本