富士通「デジタルアニーラ」オンライン広告の最適化に向け実証実験を開始
アドテクノロジー企業のジーニーは18日、早稲田大学山名研究室、富士通研究所と提携して、デジタル広告効果の可視化および新しい広告配信手法の検証を目的とした実証実験を開始したと発表した。今回の実証実験は、山名研究室が提案した「デジタルアニーラメソッド」のパフォーマンスを実証する。
Webサイトの閲覧時に表示されるディスプレイ広告などのオンライン広告の市場規模は年々拡大しており、2020年度は2兆円を超える見込み。顧客の行動情報をもとによりよい広告を提案して広告効果を最大化するには多数のパラメータから構成される組合せを瞬時に最適化することが求められており、日々新たなデータ分析手法の構築、プラットフォームの開発が行われている。
ジーニーはアドテクノロジー事業において、国内外ユーザー20,000社以上が使用する広告プラットフォームを開発し運用しており、国内屈指の高難度のビッグデータ処理技術を保有している。早稲田大学理工学術院基幹理工学部山名研究室では、ビッグデータ解析を中心にその高速化と高度応用に取り組む一方で、富士通研究所と共に金融、デジタルマーケティング、物流などの様々な分野における「デジタルアニーラ」を用いた研究で実社会の課題解決に取り組む。「デジタルアニーラ」は富士通が開発した計算機アーキテクチャーで、量子現象の1と0との重ね合わせのような揺らぎの状態を従来のコンピュータを用いて疑似的に表現し、組合せ最適化問題を高速で解くことができる。
2020年12月、ジーニーよりデータの提供を受けた山名研究室の研究成果が世界最高峰の計算機学会「IEEE BigData 2020」で発表された。この論文では、広告プラットフォームのデータをデジタルアニーラを用いて分析することで、短期間で定期的に広告を最適化する「デジタルアニーラメソッド」を提案している。これを受けて8日より、ジーニーは「デジタルアニーラメソッド」のパフォーマンスを検証するためのオンライン実証実験を開始した。
広告の最適化技術のさらなる進歩により今後、情報の受け手となる消費者と発する側の広告主との間で、互いのニーズに合致した情報のよりスムーズな供給が可能となることが期待される。
(写真はイメージ)