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NECのAI新技術 顔認証やサイバー攻撃の分析を最大20倍高速化

日本電気(以下、NEC)は6日、人間が複雑な意思決定を行う際にみられる脳活動の知見を応用して、高い精度を維持しながら高速に判断するAI技術を開発したと発表した。この技術を顔認証やサイバー攻撃の検知・分析に適用した場合、既存の手法と同等の精度を維持しながら、処理スピードを最大20倍高速化することが期待できる。

顔認証やサイバー攻撃の検知・分析を行うAIエンジンは、一般的にはあらかじめ設定した量のデータをすべて取得してから分析して結果を出す。例えば顔認証を活用した入退場ゲートでは、複数フレームの画像を連続して撮影しデータを蓄積してから、それらを総合的に判断することで個人を認証する。

今回新たに開発された技術は、「多様かつ断片化された情報を総合評価して、できるだけ速く、正確に判断を下さなければいけない」といった、複雑な意思決定を行う際にみられる脳活動の知見を応用したもので、すべてのデータの蓄積を待たず、データを取得しながら同時に分析していく技術。指定した信頼度(もっともらしさ)が得られたタイミングでデータ収集を打ち切り判断することで、認証や検知・分析を高速化する。

このような考え方で判断する逐次確率比検定は、1940年代に提案されて製造分野の品質管理で使われてきたが、必要となるデータなどの前提条件が厳しく、幅広い領域に適応することが困難だった。近年、意思決定時における大脳頭頂葉の神経細胞がこの手法に近い計算をしていることが明らかになり、最新の神経科学と機械学習の知見を融合することにより、革新的なアルゴリズムを考案して速度と精度を両立する技術を開発した。

同社はこの技術を5月3日~7日(日本時間)に開催された、機械学習・人工知能の分野で権威ある国際会議「ICLR(International Conference on Learning Representations)2021」のSpotlight Presentationで発表した。 今後は同社の顔認証AIエンジン「NeoFace」に同技術を搭載するなど、時系列データを活用する領域全般へ適用していく。

画像提供:NEC(冒頭の写真はイメージ)