行政職員に聞く、福祉行政の成り立ちと現状
NEWS SALTでは6月19日、オンラインセミナー「市役所 福祉課の仕事紹介」を開催した。講師は行政職員の松本道央氏。
日本の福祉制度は第二次世界大戦後に、生活に困窮している人を救うために整備されてきた。
1950年代に復員軍人や遺族の経済問題に対処するための生活保護法、戦争孤児のための児童福祉法、傷痍軍人のための身体障害者福祉法が制定された。
1960年代には知的障害者福祉法、老人福祉法、母子福祉法が制定され、前述三法と合わせて「福祉六法」と呼ばれる。これらが現在の福祉行政の原形となっている。
実際に行政で行われている福祉サービスは、大きく分けると障がい者福祉・高齢者福祉・児童福祉・生活保護の4つに分類され、更にそれぞれの福祉制度において各人に必要なサービスが提供されている。
生活保護制度については、生活保護を受給するための要件があり、被保護者の年齢や家族構成、生活状況などによって支給される扶助費が異なる。
そしてコロナ禍における生活保護の現状として、今年6月の厚生労働省の発表によると、2020年1年間の生活保護の申請件数が前年比2.3%増加し、申請件数が増加したのはリーマンショックの影響で急増した2009年以来11年振りだった。
参加者からは特に生活保護制度について関心が多く寄せられ、「困っている人が生きていくためのセーフティーネットがあることを知ることができて安心した」「一度生活保護になると抜け出すのが難しいと思う。生活保護に至る前の保障制度をもっと整えるべきでは」などの意見が交わされた。
(写真はイメージ)