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サステナブル・ライフスタイル意識調査2021 関心を寄せる社会課題の地域差が明らかに

電通と電通総研は、日本を含む12か国を対象に共同で実施した「サステナブル・ライフスタイル意識調査2021」の結果を9月8日に公開した。関心の高い社会課題に「少子化・高齢化」が上位に入るのは日本のみだった。また、「消費意識」では日本・欧米が「私的満足を優先」する一方、中国・ASEANでは「公的意義を優先」するなど、地域差が明らかになった。

同調査は二酸化炭素の排出抑制やプラスチックごみの削減、サステナビリティに対する意識などについて、国ごとの違いとともに、2010年に実施した「サステナブル・ライフスタイル意識調査」との比較を目的に行った。

対象となったのは日本、ドイツ、イギリス、アメリカ、中国、インド、インドネシア、マレーシア、フィリピン、シンガポール、タイ、ベトナムの12カ国。サンプル数は計4800サンプル、内訳はASEAN 6か国は18~44歳男女300サンプル、他6か国は18~69歳男女500サンプル。調査期間は2021年7月8日~20日で、インターネット調査にて実施した。

12か国比較で見る日本の特徴①「少子化・高齢化」が上位に

「関心のある社会課題」についての質問では、日本は1位「自然災害」57.2%、2位「少子化・高齢化」45.6%、3位「大気汚染」41.6%だった。

一方、イギリス、ドイツ、シンガポールは「海洋プラスチックごみ」、アメリカは「人種差別」「医療制度・設備」、中国、インド、ベトナムは「大気汚染」「水質汚染・水不足」、フィリピン、マレーシア、インドネシア、インドは「公衆衛生」、タイは「失業率」が上位となった。

「少子化・高齢化」が上位に入るのは日本のみで、関心を寄せる社会課題には大きな地域差が見られた。

また「リサイクル行動」では、日本は「エコバッグ」使用率が78.8%と1位のフィリピンの87.3%に次ぐ2位だった。また「詰め替え商品」購入率は1位フィリピン、2位インドネシアに次いで3位となった。マイボトルの使用は日本以外の国では半数を超えていた。

また中国、フィリピン、アメリカでは外食時の食べ残し持ち帰りが6~7割に浸透していた。一方、日本はマイボトルや食べ残しの持ち帰りなど、外出時の飲食機会における意識が低かった。

12か国比較で見る日本の特徴②「次世代につなぐためにできることをしている」は最下位

「経済意識」では、日本は半数を超える52.2%が「環境税などのコスト負担を許容できる」と回答。ただし、「今の生活を守ることに精いっぱいだ」が日本は61.2%と全体で最も高く、さらに「次世代につなぐためにできることをしている」は38.8%と最下位だった。これはシンガポールとアメリカも同じ傾向が見られた。

一方、ベトナム、インドネシア、中国は「環境税などのコスト負担を許容できる」が7~8割と高く、また「次世代につなぐためにできることをしている」が70%以上と高かった。

「消費意識」は、ドイツ、イギリス、アメリカと日本、シンガポールの経済先進国は「私的な満足度を優先」が約6割。日本は「公的な意義」より「私的な満足度を優先」が61.6%となり、前回調査に比べて「私的な満足度を優先」の割合が高まった。一方、日本とシンガポールを除くアジア諸国では「公的な意義を優先」が多数派で、かつその割合が増えた。

「社会活動の支援」では、インドネシア、フィリピン、ベトナムは約8割が「社会活動※」の高関与者(イベントを企画するリーダー+参加するメンバー+情報を広げるサポーターのいずれかを選んだ人の合計)となっていた。日本は、「署名・寄付などの社会活動」に高関与の人は12か国中で最も低い28.0%だった。

「社会課題に関心を持つきっかけ」は、日本では「ニュース・記事」が56.0%、ASEANは「SNS投稿」の方が高かった。また情報源に関する自由回答では、日本ではニュース(番組、サイト、アプリ)が中心で、SNSの種類はTwitterが上位となった。

今回の調査結果について、電通は「日本は10年前よりサステナビリティのイメージが具体化され、エコバッグ利用や詰め替え商品の購入も一般化した。しかし、買い物時にはある程度エコを意識する機会がある一方で、環境コスト負担を受け入れ、社会活動を支援する層は一部にとどまり、使用・廃棄まで人びとの意識が行き届いているとは言えない」と考察している。

※同調査では、社会活動とは「気候変動問題や社会的不平等の是正に向けて、人々に働きかけていく活動」と提示。

画像提供:電通(冒頭の写真はイメージ)