恐竜の大型化のきっかけとなった三畳紀末の大量絶滅の実態を解明 東北大など
東北大学などによる研究グループは13日、堆積岩の過熱実験から三畳紀末の大量絶滅の実態を解明し、火山活動による地球寒冷化がその後の恐竜の大繁栄の引き金になったと指摘した。この研究は、国際誌 「Earth and Planetary Science Letters」に掲載されるのに先立ち、12日付電子版に掲載された。
地球の歴史上で5回あったとされる大量絶滅の4回目に当たる約2億年前の三畳紀末では、それを境にそれまで繁栄していたワニの先祖である大型爬虫類が絶滅し、それまで小さく地味だった恐竜が急速に大型化してジュラ紀以降に繁栄するようになったとされている。この大量絶滅の原因は、超大陸パンゲアの分裂を引き起こした大規模火山活動だと考えられていた。しかし、火山活動がどのように環境変動を起こしたかは不明だった。
東北大学大学院理学研究科地学専攻の海保邦夫教授(現:東北大学名誉教授)らの研究グループは、堆積岩の加熱実験を行い、比較的低い温度では二酸化硫黄が、高い温度では二酸化炭素がより多く放出されることを明らかにした。さらに、大量絶滅時の地層に残された生物由来の有機分子の分析によって、火山活動が低温から高温へ移行したことがわかった。
以上のことより、同研究グループでは三畳紀末の大量絶滅は次のプロセスで起こったと推定した。
1.大規模火山活動のマグマが、比較的低温で堆積岩を加熱した結果、大量の二酸化硫黄を生成し、
2.二酸化硫黄が成層圏に入り、硫酸エアロゾルを形成。
3.硫酸エアロゾルが太陽光を反射し、光合成阻害や地球寒冷化などにより生物の大量絶滅を起こした。
その後、火山活動と堆積岩の高温加熱により、大気中のCO2濃度が増して温暖化したと考えられるという。
同研究グループは、これまでにも同じ手法で既に2回目の後期デボン紀の大量絶滅、3回目のペルム紀末の大量絶滅、5回目の白亜紀末の大量絶滅の研究を発表しており、今回の研究により4回目の三畳紀末の大量絶滅のメカニズムが解明できた。今後は1回目のオルドビス紀末の大量絶滅を解明して、5回全ての大量絶滅の発生原因と気候変動のメカニズムを総合的に解明していく。
画像提供:東北大学(冒頭の写真はイメージ)