東京理科大学野田キャンパスで新種のバクテリアを発見
東京理科大学は17日、同大学野田キャンパス理窓公園内の池の水から新種のバクテリアを発見したと発表した。Dependentiae門のバクテリアとしては日本初、世界で4例目の分離培養となった。この研究成果は国際的なオンライン微生物学雑誌「Microbiology Resource Announcements」に3日付で掲載された。
東京理科大学教養教育研究院・大学院理学研究科の武村政春教授は、同大学野田キャンパス理窓公園の水をサンプリング。その中からヴェルムアメーバに感染するウイルスのスクリーニングを行い、偶然にもヴェルムアメーバに感染するバクテリアNoda2021株を発見した。この株からゲノムDNAを抽出し分子系統解析を行った結果、Dependentiae門のバクテリアでVermiphilus pyriformisに比較的近縁であることが明らかになった。
Dependentiae門のバクテリアは、泥炭湿地、病院のシンクのバイオフィルム、土壌、排水などの多様な環境に広く分布していることが知られている。しかしその一方で、宿主の細胞外で増殖できない特徴をもつため、これまでに3例しか分離培養されていなかった。Noda2021株はDependentiae門における分離培養の世界で4例目、日本で初めての例となる。
今回の実験の本来の目的は巨大ウイルスを分離培養することだった。巨大ウイルスとは一般的なウイルスよりも粒子サイズ、ゲノムサイズ、遺伝子数が大きいウイルスの総称。2003年に最初に発見された巨大ウイルス「ミミウイルス」のサイズは800nmで、光学顕微鏡でも見ることができる。巨大ウイルスは小さなウイルスだったものが生物になる方向へ進化している存在ではないかと考えられている。
今回分離培養されたバクテリアNoda2021株は、ゲノムサイズや遺伝子数、ヴェルムアメーバに感染し増殖するという特徴が巨大ウイルスと類似していることから、バクテリアと巨大ウイルスの境界領域に位置するものである可能性が考えられる。このNoda2021株がバクテリアと巨大ウイルスの双方の起源や生態学的位置付けに、新たな知見をもたらすことが期待されるとしている。
画像提供:東京理科大学