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仙台防災未来フォーラム2022 気候変動など幅広い「防災」について考える

3月5日、仙台国際センター展示棟にて「仙台防災未来フォーラム2022」が開催された。2016年に開催を始めて、今年で8回目となる。防災の担い手である市民が、自らの取り組みを発表・共有・継承することで、未来の防災に貢献することを目的としている。

防災と環境を考えるフォーラム

東日本大震災から11年が経ち、震災の記憶のない人たちも増えている一方、地震以外の災害も増加傾向にある。このような状況のなか、東日本大震災の振り返りに加えて内水氾濫、洪水、気候変動も含めた日常的に起こる災害にテーマを広げ「今、私たちにできること」を考えるきっかけにしている。また、近年関心の高まっているSDGsとも組み合わせ、防災と環境を同時に考えるイベントになった。

同フォーラムで目立ったのは、防災環境都市として真摯に取り組んできたことがうかがえる、仙台市役所内の各課の取り組みの多さだ。ブース展示62団体中、19団体は仙台市役所内の各課が出展。宮城県と市内の若林区も入れると、出展団体の実に3分の1が行政関係となり、各方面での取り組みの充実ぶりがうかがえた。

青色が目印「災害時給水栓」

会場内で特に目を引いたのが、仙台市水道局の青い「災害時給水栓」だ。非常時には備蓄庫などに保管してある「災害時給水栓セット」の中から、ホースと蛇口を取り出して仮設給水用の蛇口を作ることができる。食品衛生法に準拠した形でホースを保管してあるため、給水車を待たずに市民だけで飲料水を得ることができる。

この災害時給水栓は、仙台市内の小学校の校庭など、150カ所以上の各指定避難所の敷地内に設置されている。使い方は動画サイトでも公開されている。

手前が給水栓、奥の青いバッグが「災害時給水栓セット」で、ホースや蛇口が収納されている

仙台市水道局は2021年度から水道危機管理室を設け、災害時の対策をしている。「19大都市水道局災害相互応援に関する覚書」などを締結し、東京都・札幌市・堺市・新潟市と合同訓練を実施。災害時には互いに応援活動ができる体制を整えている。

市民団体の取り組みも多数のブース出展があり、多くの来場者が関心を持って質問していた

仙台市の防災・減災の取り組み

仙台市は東日本大震災をきっかけに、「防災環境都市づくり」を進めている。これは、将来の災害や気候変動リスクの脅威に備えた「しなやかで強靭な都市」を目指すものだ。具体的には「杜の都・仙台」の豊かな環境を基本として、インフラやエネルギー供給の防災性を高める「まちづくり」や、地域で防災を支える「ひとづくり」を進めている。

また、東日本大震災の2カ月後の2011年5月には、震災の経験と被災地の再生を世界に発信するため、「国連防災世界会議」の誘致を表明した。2015年3月に同市で開催された会議では、2030年までに世界の国々が取り組む指針として「仙台防災枠組」が採択された。

2017年3月11日には「仙台市防災・減災のまち推進条例」を制定し、市と市民、事業者が相互の連携をして防災及び減災に取り組むこと宣言した。仙台市はこれらの条例や枠組みをもとに、防災・減災に取り組んでいる。