身近な防災・減災活動のスペシャリスト「防災士」とは

地震や水害などの自然災害が多い日本では、予測不可能な災害に対し、常日頃から防災・減災対策を行っていくことは、とても大切なことです。

現在、全国各地で地域の防災・減災活動のリーダーとして活動する「防災士」が増えています。どんな人がどんな活動をしているのか、見てみましょう。

防災士ってどういう資格?

防災士は、NPO法人日本防災士機構が認定する民間資格制度です。日本防災士機構では、「防災士とは『自助』『共助』『協働』を原則として、社会の様々な場で防災力を高める活動が期待され、 そのための十分な意識と一定の知識・技能を修得したことを日本防災士機構が認証した人」だとしています。

1995年に起きた阪神・淡路大震災の教訓を踏まえて、予測不可能な被害に対して正しい知識と適切な判断を兼ね備えた人材を育てようと防災士制度の検討が始まり、2003年から認定が始まりました。

どんな人が資格を取得するの?

企業の危機管理担当者や防災担当者のほか、地域の消防団員、さらに一部の自治体では防災関係部署の職員だけではなく、全職員が防災士の取得を目指しているところもあります。また定年退職を迎え、これまで社会で蓄えた経験や知識を、防災に役立てたいという個人も増えています。

2022年3月末時点での防災士認証登録者数は22万8804人。2003年の認定開始から現在までに、約22万人の防災士が誕生しています。

防災士になるには?

防災士になるためには、日本防災士機構が定めた研修を受講し、履修証明を得て、資格取得試験を受験する必要があります。

資格試験に合格した後、消防本部または日本赤十字社等の公的機関、それに準ずる団体が主催する「救急救命講習」を受講して、その修了証を取得した人だけが、はれて「防災士」として認定されます。

2003年から防災士養成研修と資格取得試験が始まりました。近年、多発する災害の影響から防災士への関心が高まったことにより、受験者が急増しています。特に2011年以降は、女性の受験者が増加しました。

防災士の活動は?

防災士は民間資格なので、資格取得によって特定の権利や権限が与えられる、もしくは行動が義務づけられるといったことはありません。

災害に対する正しい知識と技能を持ち、適切な判断を行える防災士は、防災啓発や訓練の実施など、社会の様々な場での活動が期待されています。

例えば、実際に、地元の防災ボランティア活動に積極的に参加する人、自宅の耐震補強や家具固定・備蓄に取り組み、それを知人などに共有するという活動をしている人もいます。また中には、地域・職場での防災講演や避難所訓練等のリーダー役を果たしたり、自主防災組織や消防団の活動などを行ったりする人もいます。

全国の防災士の活動事例は、日本防災士機構のホームページで紹介されています。

広がる防災・減災の取り組み

地震や台風など自然災害の発生自体を防ぐことは不可能です。しかし、日頃から防災・災害についての知識や災害発生時の対応力を備えることにより、私たちの生命や財産への損害を減少させることは可能でしょう。

防災について高い意欲があり、正しい知識と技能を持つのが防災士です。

まず防災士が率先して、自発的に減災と社会の防災力向上に取り組むことを通じて、それぞれの企業や学校、地域、社会における防災・減災活動を牽引していくことが期待されています。

(写真はイメージ)